今年一番の人出を見た三の酉の夜であった。
それは、既に過ぎたる今年の一の酉、二の酉の閑散とした酉の市とは打って変わって、ほぼ例年と同じ賑わいであったということと、コロナで始まった今年のうちで、目にした初めての大勢の人であったと言うこと。
通勤電車の車内以上に混み合う人であったか、
同行した牛男はびっくりした様子で、
「危険だ、帰る」とつぶやくように言って、後ずさりして本当に帰ってしまった。
わいわいと弾む、小学生、中学生の人の波に押されて神社に近づくと、聞こえてくるお囃子の音色が大きくリアルであった。
一の酉の夜も、二の酉の夜も、神楽殿にはスピーカーが置かれていたのに、そこには笛や太鼓の奏者の姿があった。
参拝客はどうかと言うと、例年のように蛇がとぐろを巻いたように、ぐるぐると人の列が巻いているほどではないものの、長蛇の列で少なくとも30分は待つようであった。
流石に私も参拝は諦めた。
そんな人出であったから、熊手もご覧のとおりに、
二の酉の時からぐっと減って残り少なであった。
大判焼も次々と売れる。
キャベツがたっぷりのったお好み焼きをひっくり返す店主の腕にも力が入っていた。
いつもの酉の市の風情となった。
プリプリのフランクフルトも美味しそうに並んでいた。
風のない暖かな夜だったのでビールも売れたに違いない。
良い写真を撮りたくて、戻ろうとしても人の波に逆らっては進めない勢いであった。
しかし、どうした人の心理であろう。
都知事は、コロナウイルス感染の重傷者が急増していることから、「できるだけ不要、不急の外出は控えていただきたい」と呼びかけているのに。
かく言う私は、一の酉、二の酉同様に人出が少ないだろうと思ったのだ。
子供が圧倒的に多かったので、感染しても大変なことにはならないと思ったか。
これからまた自粛ムードとなるであろうから、羽を伸ばせる最後のチャンスと考えたのか。
我慢ばかりもしていられないか。
活気が戻った三の酉の夜でした。
今日の東京の最高気温は18度、最低気温は10度、曇りのち晴の予報です。
11月最後の金曜日を迎えました。
東京では明日から酒類を提供する飲食店等の営業時間の短縮が要請されます。
早く賑やかな夜が戻ることを祈る、私ドラキュラです。