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2008年9月27日土曜日

地獄絵図ビードロを吹く老女

 ポッコン、ポッコン!聞こえてきたのは、夜中の2時だ。犯人は、下剤を飲んだ上、下剤を点滴から入れて24時間始終おむつ交換をしてもらっているとなりの患者だ。
 今度は、何だ、一体何事だ?『ぽっこん』という済んだ音が鳴っている間、私は一瞬考えた。夜中にビードロ遊びが始まったのか。退屈になったのか、気晴らしか、しかし、夜中の2時だ。時間を考えろ!いや6人部屋でビードロ遊びは昼間だって大迷惑だ。大体なんでビードロなんてモノがあるんだ?「退屈でしょうから、故郷のビードロを持ってきたわ」なんて見舞客でも持ってきたのか。
 よーく耳を澄ましていると、ストロー付きのプラスティックの飲み物の容器をちゅうちゅう吸って、その容器の底が上下してポッコン、ポッコン大きな音を立てているようだ。もう下剤漬けのピーピー状態も5日目になったろう。喉が渇くのも無理はない。しかし、夜中にこんな音を立てなくても。
 8分間隔のおむつ交換に文句は言えないけれど、切れかかっていた私は気が付いたら「うるさいぞー!いいかげんにしろ!」と怒鳴っていた。
 すると老女は、ポッコンを止めて「ちゅいません」と言った。歌麿のビードロを吹く女の色気とは対照的な老女の言葉と声になんだかおかしくなった。
 

2008年9月17日水曜日

病院食

 食事が美味しい病院は、今どきでも自前だなぁと思う。外注の食事とどう違うかと言うと、なんか根本的に違うように思う。自前の美味しい病院食は、「病院食」という感じではなく、お料理上手なお母さんが作った「おうちのごはん」という感じ。塩分や栄養制限などが多くある特別食でも感心するぐらいに上手にできている。
 一方、病院食の専門業者に委託しているところの病院食は「病院食」然としている。献立にはやたら凝った名前がつき○○のピカタだのなんなの、しかし、どれも名前負け。我慢して食べて3日だ。あとは鼻について、ふりかけでご飯を食べるのは、入院したことのある人なら経験があると思う。業者に言わせれば、病院からの受託費用に見合った食事を提供するしかないということだろうけど。
 そんなことを考えていたら、汚染米が最大手の病院給食受託会社から患者に提供されてしまったという。会社は知らずに購入したのかもしれず、被害者かもしれないけれど、一番の被害者は、患者や入所者だ。
 ここで20年前のように、食材調達から調理まで病院でやる「自前」に戻したらどうだろう。難しいかもしれないけれど、今またスローフーズの時代だ。

2008年9月9日火曜日

おつかれナース3

 早押しクイズのようにナースコールのボタンを押して、10分と空けずおむつ交換を頼むとなりの老女。そんな事を知ってか知らずか、ある朝、若い男性看護師が「僕なんかにおむつ交換させてもらえるなんて、うれしいな。」と。言わなきゃいいのに歯の浮くような事をわざわざ言って、まずは1回目の交換!
 交換が済んで、男性看護師がおそらくナースステーションにたどりつく前だったろう、直ぐさま老女はナースコールのボタンを押した。やってきたのは、今出て行った男性看護師。「また?はーい、はーい」と2回目の交換。なんせ下剤を内服して、かつ末梢から、つまり点滴からも下剤を入れている老女。時には、おむつ交換している最中にもピーピィーと音がして看護師の「あーあー」という悲鳴が聞こえてくることもある。隣の私だって悲鳴を上げたい。
 2回目のおむつ交換が済んで直ぐまたナースコール。またまたやってきたのは同じ男性看護師。3回目に呼ばれた男性看護師の口から出た言葉は「今取り替えたばかりだから、取り替えなくてもいいでしょ」だった。男性看護師3回目にしてギブアップか。すると老女は「女は不潔にしておくと、膀胱炎になるから駄目なんだよ」と言った。私は『確かに。ばあさんはやはり呆けてはないなぁ』と思った。男性看護師は黙って3回目の交換をして部屋を出ていった。その後は、他の看護師がおむつ交換をしていた。
 その日の夜、私が密かにキャプテンと呼んでいる看護師が、0時から明け方6時近くまで64回黙々とおむつ交換をした。眠れない怒りよりも、看護師に敬服した。私だったらお尻の穴に栓をしてしまうに違いないと思った。


2008年9月3日水曜日

三拍子

 イケメンで性格が良くて頭が良い奴はいるか?うーん、いないなぁ。同じように病院で、設備(医療機器含)が良くて、スタッフ(医師、看護師等)が良くて、食事が美味しいと三拍子そろったところはあるか?うーん、これまたない。あったならば、その病院の台所事情は火の車だったりする。三拍子そろった男がいた!と思ったらプータ郎だったりするのと同じだ。
 私がお世話になっている病院の取り柄は、食事が美味しい事だ。一つ良いところがあれば、それで良しとするしかないのだ。