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2007年12月29日土曜日

おもしろ話5(ドクターカバごんととなりの患者)

となりの患者が、入院してきて3日目に「私どこが悪くて入院したのかわからないんです」と騒ぎだした。『信じられない、もう何日過ぎているんだぁ』と思った。見た目は、20代半ばの明るい普通の奥さんという感じのとなりの患者。いつもベッドにすわりTVを見て声を出して笑っていたり、隣の老婆の下膳をスタスタとやったりして、ずいぶん元気だなぁと感じていた。
 主治医はドクターカバごんのようだ。カバごんがやってきたみたいだが「よくなってなすよ〜ん」と言って次の言葉がない。もう消えたようだ。ドクターカバごんは、30歳少しを過ぎている。昨年までは、診察室の椅子にそっくり返るように座り、ふんずり返っていた。いつかそっくり返ったまま、後ろにひっくり返ったらおもしろいなと思っていた。しかし、成長したのか久々のカバごんは、横柄さがなくなり、口調がソフトになっていた。人間は30歳を過ぎても成長するのだなぁと思った。
 翌日、たまたまとなりの患者のところにドクターカバごんが来ているところに出くわした。出くわしたといっても、カーテンから顔だけ患者の方に出していて、私は、カバごんの後ろ姿を見たにすぎない。その様は、丁度小学生が学芸会で、カバの着ぐるみを着て開幕前の舞台で幕から顔だけを出し、こっそり会場を覗いちゃったという感じだ。セリフはまた「よくなってますよ〜ん」だけだ。すぐに幕(カーテン)、から顔をひっこめてしまっていた。
 となりの患者は、さらに次の日、何がなんだかわからないまま、栄養指導に出かけていった。

 

2007年12月23日日曜日

格差社会

 ここは下町にある大学病院。ベッドの左脇、頭の方に背の高い棚が置いてある。それには、いくつかの引き出しと、扉のついた大きめの収納スペース、コインロッカーの大ぐらいの大きさのが付いている。ベッドの右側はカーテン一枚を隔ててとなりの患者の棚だ。
 となりの患者は、引き出しをガタッ、ピィシャッと開け閉めする。私の枕元から隣の棚が数10センチの距離なので頭にがーんと響く。うとうととしていると強烈な一撃をくらったようだ。棚はその都度揺れている。カーテンを引く音もすさまじい。シャッと深夜であろうと、おかまえなしだ。マナーもへったくれもない。室内、廊下はペタッーぺー、ぺたっぺーと草履を鳴らして歩く。
 しかし、それは今のとなりの患者に限ったことではない。どうしたらペターぺーと高い音を立てて歩くことができるのか不思議なくらいだ。『くそー!タップダンスでも習って、次の入院の時は披露してやろうじゃないか』と思ったりする。それは到底無理だから、子供の頃に履いてたピヨピヨ鳴るサンダルで次回は対抗したいと考えている。
 そんなとなりの患者のところに医師が来た。食事の時間だった。むしゃむしゃと食べる音、器をかちゃかちゃ置く音がカーテン越しに聞こえてきていた。が、止まった。
 「お食事中に、申し訳ありません。失礼いたします」とソフトな話し方だ。白鳥貴公子の声だ。「はいょ!」と、となりの患者。静かにカーテンを開けているのは白鳥貴公子に違いない。白鳥先生は30歳にやっと手が届くかというぐらいの、細い男の先生で公家の出か?と言う感じなので、私は白鳥貴公子と名付けていた。
 私は、なんだかおかしくなった。患者は、むしゃむしゃ、ずるずると食事を取る。医師は物腰し和かで、そっと現れて、お食事中失礼いたしますと言う。白鳥貴公子のみならず、この病院の医師は皆スーパーおぼっちゃまだ。大学6年間で優に1億円は超えるという話だ。一方患者はと言えば・・・・・、かく言う私も今は無収入だし。下町の大学病院、それは格差社会の象徴だ。(登場人物の名前は仮名です)
 

 

2007年12月22日土曜日

ドクターに喝

おおしみず君!診療中は、マスクをしたまえ。ひどい風邪じゃないか。患者にうつるだろうが。普段、風邪が喘息の引き金になるから気をつけないさいと言っているくせに!

2007年12月15日土曜日

おもしろ話4(となりの患者)

正確にはとなりのとなりの患者だ。3人部屋なのでベッドは川の字に並んでいるが、おとなりは久々の空床だ。私は川の字のはじ、病室の一番奥のベッドだ。ベッドの周りを、ぐるりとカーテンで囲い、私は貝のようにしている。
 今日は検査。クラークの大澤さんが知らせにくる。検査室からナースステーションに連絡が入り、大抵クラークさんが病室に伝えにくるのだ。
 病室の入り口付近から「あんこさん!」と大澤さんの声。来た!と思った。が、次の瞬間「ハイ!」と、私でない誰かが返事をしている。なんでぇ、あんこは私だ。クラークさんは私の声でないと思ったのか「あんこさん!」とさらに言った。するとまた私でない誰かが「ハイ」と返事をしている。勢いのある、切れの良い返事だ。
 『だから、あんこは、わたしだっつうの』と私は苛ついた。しかし、もっと苛ついていたのは大澤さんの方だったようだ。「あんこさん!」怒った口調だ。また私じゃない誰かが「ハイ!」「あんこさん!」「ハイ」「あんこさん!」「ハイ」・・・・・繰り替えされて、本物のあんこが口をはさむ間もなくなってきていた。
 「あんこは私ですけど」私はやっと言うことができた。すると大澤さんが初めて「検査呼ばれました。」と用件を言った。その間にも「ハイ!」と返事が飛んだ。
 代返していたのは、となりのとなりの患者だ。入り口のベッドの。80歳過ぎのカクシャクとした婦人だ。男なら軍人さんのようという表現になるような。入院してきた最初に「薬の管理は自分でできますから!」ときっぱり言っていた。お年寄りは大抵、薬はナースが管理して、時間になるとナースが持ってくるのだが、私にそんな配慮は無用、呆けてませんからと言ったような感じだった。しかし、歳に勝てないのは、耳のようで、かなり遠い。従って、声も大きい。
 私はよろよろと歩き、入り口に立つ大澤さんのところに行って「耳が遠いみたいなの」と言うと「(返事の)声が違うから、おかしいと思って」大澤さんは病室入り口にあるネームプレートを見ると「名前高橋じゃない!あんこと聞き間違えようがないと思うけど」やはり怒っていた。
 何日かして、となりのとなりの高橋さんは、看護学生に薬を飲み忘れたがどうしたら良いかと相談していた。
(登場人物の名前はすべて仮名です)

2007年12月14日金曜日

ドクターに喝

アキラ君、ただし君その気分の波なんとかならんのか!患者に気を使わせるなんてサイテーだと思わないのか。

2007年12月9日日曜日

おもしろナース2

病棟のトイレは汚い。ずらっと並んだ蓄尿置き場からして既に床はなんだかびしょっとしている。便器にたどりつくまで綺麗な所を捜して歩くのは至難の業。誰かがうんこを踏んで固まった痕。便器の外側にもそんなものがちょいちょいくっついている。だから私はトイレに至る廊下でパジャマのズボンの裾を何回も折り返す。ある朝も廊下で足を止め懸命にズボンをまくり上げていると、向こうから歩いてきた師長が「あんこさん、これから田植えですか?」私はつかさず「台風で田圃が気になるので見に行くんです!」と答えた。

ハム

何か疾患で塩分を多くとりなさいなんていうのは、あるのか?ないんじゃないだろうか。今や健康な人でさえ塩分を控えることを心がけている。食事指導なんかでは、必ず練り物とかハムなどの加工品には塩分が多いので食べないようにと言われるものだ。「板わさに枝豆お願い!」なんて言ってた頃もあるが、蒲鉾やちくわを食べるのは我慢できる。がしかし、ハムは食べたくなる。減塩ハムで美味しいと思うものはなかったなぁ。おすすめなのは、伊藤ハムのまろやかロースハムだ。少々値が張るが、塩分はかなり少ないと思う。丸くべろーんと大きいのだ。確かにまろやかでおいしい!半分が理想的だろうけど、たまだからね。

2007年12月6日木曜日

ドクター傾向・K大卒

私立医学部の雄である。若手もベテランも女医も開業医も病院勤務医も国の技官も、まずは人柄が優しい。余裕からか。大学の教育によるのか。昔、仕事で知り合った某有名病院のK大卒の若い院長が「自らの親を診るように患者を診なければいけない」と教えられたと言っていたが。
医学部のヤツは野口英世の時代じゃないので、私立のみならず国公立も当たり前ように富裕家庭に育ち、そして大抵は親、祖父、曾祖父などの直系、親類も皆医者という環境だ。K大卒はとりわけ育ちの良さが、診察室の扉を開けたその時から、ふわっと匂ってくる。(K大は、一応卒業までの学費は私学では一番安いということになっているが)当ブログ11/12「こんな医者1」に登場する教授、温厚そうなジェントルマン・・・も実はK大出身だった。
 知識豊富で回転もすこぶる速い。大学の要職にある医師になると、やや他の私立大学病院を小馬鹿にしたところがあるが、専門分野外でも知識の深さは驚くほどで、確かにそこいらの私立医大の専門の医師も知らないのではと思うから、小馬鹿にするのも最もかなぁと。

2007年12月4日火曜日

おもしろ話3(となりの患者)

3人部屋でのある夏の夜、7時に突然真っ暗になった。『うっ!停電』と思った。数分後となりのベッドから「明るいの嫌いなので部屋の明かり消しました」と。『えっ!消灯は9時だ。当然、夜の検温もまだだ』『そんなのありかい!』と思った。となりの患者は今日入院してきた整形の患者だ。私よりは、はるかに年長で50歳は過ぎている感じだ。どうも整形病棟がいっぱいでこの病棟に1日だけいることになっているらしい。本人は昼間、「みのもんたと同じ病気で脊椎だか腰だかが痛くて耐えられないから手術に踏み切った。」と話していた。
 廊下を通る看護師達が、この部屋だけ真っ暗なので「えっ」とか「何」とか言って通る。同室の通路側の老婆が8時に麻酔から目覚めたようだ。老婆は手元の明かりで、置いてあった夕食を取り始めたらしく、汁をすする音や箸や器を置く音が聞こえてくる。真夜中に目覚めたと思ったろうか。気の毒だった。少しして、夜勤の担当看護師が、ハーハー言ってやってきた。「真っ暗なので、9時過ぎたかと思ったら違った、良かった!」とほっとしたようだった。まだ老婆は食事をしているふうだったが、看護師も部屋の明かりをつけるでもなく、真っ暗な中で検温や血圧が測定された。
 となりの患者は、明日からの整形病棟で、たぶん6人部屋のはず。『整形は年配の患者多いし、わりと口は達者だったりするから、整形での共同生活は大変なことになりそうだな』と思った。

2007年12月3日月曜日

ドクター傾向・S.M.医大出身若手女医

中には、おっとりさんもいますが・・・・しかし、ヒステリー、すぐテンパる、全て教科書どおりにしないと気がすまない、余裕なし、患者の状況はもとより心を汲み取る気持ちは、全くなし!
昔から偏差値が低い大学。近年は新しい大学ができてレベルは上がったと聞いが・・・・ひどい医者がやはり多いなぁと、改めて某予備校の偏差値ランキングを見ると相変わらずじゃ!入試偏差値と結びつけて考えたくはないが、ついねぇ。大学は、心ある医師とか、医師としての人間教育ももっと行うべきなんじゃないかい?