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2019年3月31日日曜日

お別れ



 会うは別れの始めなり。
桜の季節は別れの季節でもあります。
今年は、プータローの私にも人とのお別れがありました。
一つは、長年お世話になったお米屋さんの閉店により、
自宅までお米を運んでくれていた店主とのお別れです。
私が病気になる少し前からお世話になっているから14年はお世話になっただろうか。
実はそれ以前にお世話になっていたお米屋さんも廃業し、その際に紹介されたのがこの度の閉店のお米屋さんだったのです。
どちらも後継する人がいないという。
もう一つは、お掃除でお世話になっているワーカーの富士子さんとのお別れです。
こちらは、こんな別れもあるんだなというもので、
どこかほっとしている。
富士子さんの方も富士子さんで、とりわけ「孫が保育所落ちた、春から来られない。」と宣言してから後は、なんだか嬉しそうにさえ見えた。
ほたるいか酢味噌和え

富士子さんには3年間お世話になった。
途中、もう1人のワーカーさんがいらした時は、隔週だったけれど、この10ヶ月は富士子さんが毎週来てくれたのだ。
富士子さんとは、お話がぴったりと合って、人柄も良い人で、出会えたことに私は心から感謝している。

 けれど、目的のお掃除となると、話は違っていた。
最後の日も、掃除機と何枚かの雑巾を持って、太陽の入る部屋に入った富士子さんは、掃除機をかけただけで、部屋を出てきてしまった。棚などを雑巾で拭くことはすっかり忘れてしまったのだ。
 この3年間、お掃除の度にアクシデントが必ずと言って良いぐらいに起きた。
最初は、置き時計の文字盤の下でくるくる回る星の奇跡が、富士子さんのお掃除の後どういう訳か 止まっている。私は、電池切れかと2回ばかり電池を交換したけれど、別の人のお掃除だと動いていることに気が付いた。時計のその仕掛けは、激しい振動などで、止まってしまうのだった。以来、富士子さんの掃除の後は、時計をセットし直すのだ。
物の向きや置き場所が変わるのは日常茶飯事だった。
一番困ったのは、塞いだ窓の下隅に、漏れる太陽光を防ぐために置くB4版の額が無くなったことだった。
どこかにあるはずだと、良人と夜中まで必死で探したけれど、見つからなかった。あれこれ考え続けて、それは思いもよらない所から出てきた。こたつのテーブルをヨイショと外して、掛かっているこたつ布団を剥がしてみると、こたつ台の上に額がのっていたのだ。どこをどう探しても見つからないわけだ。
つい、先週もまた、その額が無くなっていることに明け方近くに気が付いた。
人の思考や行動は、たいてい同じことを繰り返すものだ。こたつテーブルの上にあるものを全てどかして、テーブルを外して、こたつ布団と剥ぎ取ると、大きな額があの時のようにデーンとこたつ台から現れた。
 A4版の立て掛ける額の脚がもぎ取れて無くなってしまったことがあった。 掃除の後、倒れている額を見て、ぎょっとなった。
富士子さんも驚いて、富士子さんと2人で額の脚を探した。
すると座布団と座布団の間から出てきたのだ。
おそらく、勢い良く、額を拭いて額の脚が空を飛んで、座布団に落ちて、そうとは気づかずにその上にまた座布団を置いたのだろう。

勿論、無償の奉仕活動と言うわけではなく今では、1時間2500円近く支払っている。
アクシデントの度に、私の目は釣り上がり、法人本部にお掃除マニュアルはないのかと問い合わせたこともあった。
お米屋さんの店主は次のお米屋さんを紹介してくれたけれど、富士子さんの次なる支援者は見つからないまま、4月を迎えることとなってしまった。


 冷たい雨となった3月最後の土曜の桜の夜は、
桜肉を生まれて初めて食べました。
脂っけがないけれど、お肉を食したと言う感じです。
今時分のブリは桜ぶりと言うそうで、その身は綺麗な桜色で、旬の冬のものよりあっさりしていました。
ホタルイカの酢味噌和えは、イカアレルギーの私は撮影のみです。
お酒が強い富士子さんもどこかで、乾杯と万歳三唱しているかもしれません。
「物の向きや置き場なんてどこでもおんなじ。
狭い日本のどっかにあればいいのよ。
だいたい部屋がごちゃごちゃし過ぎなんだよ、断捨離しろ!」と言いながら。
 止んだかと思った雨でしたが、翌る日の宴の陣取りに敷かれたブルーシートに雨音がドンドンと響き出して、再びの雨に気づいた夜でした。
おおらかな人は、大概いい人です。
これ私がこれまで生きてきて強く思うこと。(登場人物の名前は仮名です。)

2019年3月29日金曜日

from Mrs.S子



 史上初の10連休を目前に控えて、
日本の皆様はもう旅行計画を立てたでしょうか?
私は、太陽に当たることができないので、飛行機に乗ることなど到底できず、宿泊するような所には出かけられませんので、
知らない星のお話といった感じでした。
そんな折に、届いたのは、S子さんからのコロンビアのカルタヘナの写真です。
ハイアットリージェンシーから

カフェに通うだけの私がコロンビアと聞いて浮かぶのはコーヒー豆とサッカー代表のこと。
けれど、街中に聳える大聖堂の写真を見て、
16世紀にスペインに征服された地であること、カルタヘナが港町で城塞の都市であることからカリブの海賊が思い浮かんできた。
カリブの海賊の目当ては?と考えて、金、銀が産出されること、
そして、世界史の教科書にも記載がなかったであろうコロンビアが高品質なエメラルドの産地であることに思い至った時、
私はくらくらしてきた。
 S子さんの、今回のカルタヘナの旅が相当感動的であったことが、短いコメントから伝わってくる。
抱える仕事のやりくりをつけて出かけただけのことはあったという感じだ。
「400年以上にわたる人種と文化の混ざり合いが特色」とメールにある。
コロニアル様式の建造物を始めとるスペイン文化だけでなく先住のインデイォの文化も色濃く残っているのだろう。


これは美味いに決まっているという写真は、
海老カレーとほうれん草のクレープです。
10連休に自由に羽ばたける方はどうぞカタルヘナへ。
ちなみに今日のカタルヘナは最高気温32度、最低気温26度です。
ちょっと暑いですかね。
私が、コロンビアに行けたなら、どんな所も絵になる街並みの写真撮影はそこそこに、エメラルドの採掘場へまいります。
今日の東京の最高気温は14度、最低気温は6度、曇りのち晴れの予報です。
皆様におかれましては、この週末、夢ある旅行プランをどうぞ!

2019年3月27日水曜日

from Mrs.S子

今夜はカフェで、
明晩はファミレスで、
営業時間の短縮という時代の流れに怯えながら、
小さな白いカップの中の褐色の宇宙に、
我が人生を嘆いて過ごすドラキュラだ。
そんな私に届いた画像に思わず「なんじゃこれ」と返信をした。
画像の送り主は他でもない、
もう思い出せないほどずっと以前に米国南カリフォルニアに渡った高校の同級生S子だ。
タイトルは、Desert X
どうやら砂漠の不思議な現象はアートらしい。
場所はコーチュラバレーで、カリフォルニア南部のサンバーナーディーノ山脈からカリフォルニア州最大の湖ソルトン湖辺りだそうだ。
知る人のみぞ、この地を訪れて、この砂漠の展覧会を楽しめるわけだ。
iPhoneのアプリがツールになるというのだ。
砂漠という自然とデジタルアートの融合という異次元のアートということだろうけれど、
自然破壊なく創造したアートという点も素晴らしいな。
別世界を心から有難う。

2019年3月25日月曜日

3月最後の月曜日



 先週は月曜日から歯医者さんだったのだ。
そして、その翌日から「人生こんなはずじゃなかった」と
来る日も来る日も地団駄踏んで、歯ぎしりして悔しがって一週間が終わってしまった。
  しかし、考えて見れば「人生こんなはずじゃなかった」と私以上に思っているのは良人かもしれない。
 婚姻話を断ろうにも言葉が出てこなかった無口という病気の良人は、私の「アルファロメオを買ってあげる」という一言で、仕方なしに結婚し、この地で暮らすこととなった。
ところが、婚姻後間もなく難病を発病した私は稼ぐことができなくなり、良人は、独身時代に所有していた愛車さえも売るハメになったのだった。
 義父は、「嫁に外れた〜」と言って息をひきとったそうだ。
そんな義父の命日は昨日だった。
私は、抱える難病の症状の一つリウマチが重く、大腿骨骨頭壊死の疑いもあって歩行ができなかった時で、葬儀にも行くことができなかった。



「実家に帰らせていいただきます」とも言えずに、堪えているのか良人は。
確か良人は、一昨年にマウスピースを作っていたな。
毎晩歯ぎしりをするからと。
ただただ悔しいだけの人生になってしまいましたが、
今週は良人にも、ブログに来訪して下さる皆様にも感謝の心を忘れずにまいります。
今日の東京の最高気温は17度、最低気温は4度、晴れ時々曇りの予報です。
皆様におかれましては、年度末でお忙しいと存じます。
どうかご自愛ください。

2019年3月24日日曜日

桜ほころぶ



 気温7度、冷える東京の夜空の下にも桜がほころんでいた。
都心の桜の開花宣言は21日木曜の午前にあった。
平年より5日早く、昨年より4日遅いそうだけれど、昨年はそんなに早かったかしら。


夜桜だけでも愛でることができるのは、
有り難いことかもしれないけれど、
やはり、澄んだ青い空に桜がちらちら揺れるさまを
もう一度観たいものだ。
そんな桜の木下で、彩り豊かなお弁当を食べたら幸せってものだろう。


こんな感じのお弁当だ。
夜桜の下でビールや枝豆、唐揚げは美味しいだろうけれど、
綺麗なお弁当はやはり、昼間のお花見でなくちゃならない。
だって手元のお弁当がよく見えないだろうから。
そんな不満は、いい気分を一瞬でしぼませる。
仏頂面で、半ば投げやりに歩いていたら、
ご近所の方に偶然出会った。
すると、丁度良かったとプリンが入っているという箱を渡された。
以前お菓子作りの教室に通っていると言っていた姉妹だ。
私の口角は跳ね上がり、遠慮もなしに白い箱を受け取った。


箱を開けると、ホールのカラメル色の柔らかそうなプリンが収まっていた。
ウッシッシ、とナイフを入れて口に運んだ。
プリンは甘さ控えめで、とても滑らかで、濃くて美味しかった。
プリンの下のスポンジケーキがカラメルソースを吸い上げて、これまた美味しかった。
こんなはずじゃなかったと嘆き続けて、くたびれた時、
たまに嬉しいこともある。

2019年3月23日土曜日

五反田 カフェ トゥジュールデビュテ



 五反田まで足を延ばした。
駅東口を出て、線路沿いに歩くことおよそ1分、
カフェ トゥジュールデビュテがある。
実は以前にも入ったことがあるのだけれど、電車の空いている土日の閉店は18時とあって、ドラキュラの私は、
行きたくともなかなか行くことができないカフェなのだ。
お店が地下にあるので、
突如として都会の喧騒が遮断される。
夜とて汗ばむ暖かさだったので、アイスコーヒーを注文したら、シーズンオフだと白い髭をたくわえたマスターに静かに言われた。
冷たいカフェオレならばある、しかも人気があるというので注文した。


テーブルに置かれたのはこちら。
美しいご令嬢が現れたような姿に、目を見張ってしまった。
そして、いつか来た日に、注文を受けてテーブルに綺麗に並んだのはこれだったのかと思った。


アイスカフェオレの容姿に見惚れたのち、
一口、口に含んだら、これぞ至福の味だった。
少し甘いとは言われたけれど、ほんの少しの甘さが例えようもなく良い加減なのだ。
以前訪ねたのは、2年半ほど前だった。
その間、カウンターに並んだお洒落な飲み物が何であったかずっと気になっていた。
アイリッシュカフェではないかなと思っていたのだけれど。
昨夜、答えをもらって嬉しかった。


アイリッシュカフェはこちら。
2杯目は、リキュールを少し控えてもらったアイリッシュカフェにしました。
貴婦人のようなフォルムで、お味は濃厚で甘めでした。


 美しい調度品、暗い空間は、まるでドラキュラのためにあつらえられたようで、
できるなら 夜な夜な訪ねたいところ。

 見上げれば、扉の向こうに山手線の列車が見えた。
下戸は、カフェで、生まれ変われるのではないかと思わせてくれるトゥジュールデビュテでした。



2019年3月22日金曜日

お彼岸



 まだお彼岸は明けていないけれど、
今年のお彼岸は散々だったな。
お彼岸に入る一週間前から、
既に亡くなっている人が連日次々と夢に出てきた。


中には、「川の向こうに行くんだ」ついて来いと言わんばかりの人もいて、
私は枯れ草で覆われた河原を後について歩いた。
けれど、どこに足を踏み入れたいいやら、枯れ枝などもあるし、蛇が出てきそうで、途中までついて歩いたものの、
私はついに「もう嫌だ」と言って目が覚めたのが月曜だった。
 生きているかさえわからない人々の夢を見て目覚めた火曜日は、
偶然にもその夢に出てきた人々の関係者が立身出世をしていることを知った。
それは夢だろうと思いたい現実で、他人の出世がこんなにも憎らしいと思ったことはなく、我を忘れて歯ぎしりして悔しがったら、治療をようやく終えた歯がギシギシと音を立てているのに気が付いて私は我にかえった。


私も、片足が既に墓穴に入っているので、とかく疲れます。

2019年3月21日木曜日

カフェにて



 猫には猫の縄張りがあるように、
カフェにはカフェの縄張りがあると知った夜があった。
岩合さんの猫のクリアファイルをもらうべく、
せっせと通ったカフェは、私にとっては言わばアウエイだった。


酷く咳き込むのに、
マスクもかけずに、 カフェに居続ける隣の男に、
注意をする度胸もない私は、席を立ったり座ったり、終いには、カフェをウロウロすることとなった夜があった。
それでも懲りもせず、あくる晩も猫のクリアファイル欲しさに、カフェへ行った。
コーヒーを飲み干して、さてコートを羽織って出ようかと、トレーを持った時に、ただならぬ気配を感じた。
ふと、顔を上げると、咳男が立ちはだかるように立っていたのだ。


その眼差しは、冷たいという感じを超えて
確かに私を睨みつけていた。
私は、思わず怖くなって下を向いた。
と同時に、この男はこのカフェの常連なんだなと悟った。
 咳男は、元モデルで俳優の阿部寛さんのマイナス3といった感じの男だ。結構な歳の男が、猫のクリアファイル欲しさにカフェに通い詰めているわけもなかろう。
前の晩、私は、咳男に文句こそ言わなかったけれど、あからさまに身体を避けたり、横を向いたり迷惑千万だという態度をとったのだった。
 一体どこに座っていたのか、あくる夜の咳男の、文句あるかというその態度には、「私は常連だ」という常連風が漂っていた。
その気配に私は、肩をすぼめて、おずおずとカフェを出た。


2019年3月19日火曜日

月曜から歯医者さん



 先週から歯医者だ、歯医者だ、歯医者だと、言い聞かせて迎えた月曜日の夜だった。
椅子が倒されて、口を開ければ、もう逃げ帰ることもできない。
優に一時間は超えただろうと思ったら、
実際の経過時間は30分だった。



終われば、突然週末気分。
家族亭で、鴨とじ丼に、雪室熟成黄金豚のタレかつまで食べてしまった。


  甘辛だれのタレかつは、新潟の名物のようで、
薄いかつにタレがよく染み込んでとても美味しかった。
そのタレかつが4切れもあったので、鴨とじ丼ではなく白飯で良かったかな。
最近、私は、少食になった気がしている。

2019年3月18日月曜日

ドラキュラが見る風景



冷える弥生の夜は、
いつものひっそりとした日曜の夜とは少し違った。
いくつもの居酒屋が集まる雑居ビルの前には、
多くの大人とその子供たち。
送別会なんだろうな。
 ラーメン屋の看板が冷やし中華に変わる頃には、
それぞれが違う扉の向こう側なのかもしれない。


2019年3月17日日曜日

カフェにて



 膨らみかけた月が蜜柑色に染まって
余寒の夜空に浮かんでいた。
私は、伺うように、こっそりと、ホームカフェに入った。
1ヶ月ぶりか、いやいや2ヶ月ぶりかもしれない。
ホットコーヒーをオーダーすると、
スタッフが「いつもありがとうございます。」と言ってはくれた。
果たして本当に覚えていてくれての言葉だろうか。


店内に入ると、
寒い間は、がらんとしていた出入り口近くのテーブル席も
一席を残して埋まっていた。
奥には、黒の女と刺繍の女が縦に、黒い碁石が並んだように座っていた。
それは、いつものカフェの 風景だった。
私は、たった一つ空いていた、かつての私の指定席の隣に腰を下ろした。
コーヒーを半分ばかり飲んだところで、ようやく背もたれに身体を委ねることができた。
そこに次の客が入ってきた。
先ほどのスタッフが、まだ閉店までには1時間もあるというのに丁寧に閉店時間を説明した。
私にはなかった閉店時間の案内を聞いて、少しばかり嬉しかった。
程なく、かつての私の指定席に座っていた中年の男女が去った。
その後に、やってきたのは、銀縁の眼鏡フレームが光る若い男性だった。
見れば、大きな大きなエルサイズのコーヒーカップをトレーにのせていた。
向かいの椅子に紺色のバーバリーのコートがかけられた。
スーツ姿になった若い男性は、コーヒーには口をつけず、じっと待っていた。
そして、彼のテーブルに届けられたのは、フレンチトーストだった。トーストには、粉雪のようにシュガーパウダーがまぶされていて、端には、白い生クリームがアイスクリームのようにまあるくのっていた。
男性は、スタッフがテーブルにやってきた時に、一礼をし、
スタッフが「お待たせしました。こちらフレンチトーストです。」と言った時にまた一礼をした。
男性は、音を立てずに食し、静かに腰を上げ、そっとコートを羽織って、カフェを出て行った。
スタッフに頭を下げていたことにも、すこぶる気をつかって、音を立てないようにしていた振る舞いにも好感が持てる青年だった。
その間にやってきたのは、何年か前に、コーヒーフロートがメニューにないとわかって、アイスコーヒーとアイスクリームを注文していたデブだった。スタッフが気を利かせて、アイスコーヒーにアイスクリームをのせて出したら、「ナイス」と言って大層喜んでいた男だ。
久しぶりのカフェは、やはりいつもの常連がカフェの景色を作っていた。
けれど、1ピース足りない。
赤の女だ。
私がご無沙汰するずっと前から見なくなっている。