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2023年10月26日木曜日

最高裁大法廷、性別変更手術規定違憲とするも半歩

菊 菓子一


三権分立ではなく、三権一体とも言われる今の日本で、

最高裁、法の番人は宇賀克也裁判官だけかと思う私は、期待を抑えていた。

結果、15人の裁判官全員一致で生殖機能をなくす手術を強いる規定は違憲としたことに一瞬歓喜したが、手術要件の二つ目、変更後の性別に似た外観を強いることについては、さらなる審理を必要としたのだ。このため、今回の申立人は性別変更が認められなかった。

桔梗 菓子一

 性同一性障害特例法では、戸籍上の性別を変更する要件に、2人以上の医師から性同一性障害と診断された上で、①18歳以上②婚姻していない③未成年の子がいない④生殖機能がない⑤変更後の性別の性器部分に似た外観がある

の5つの要件を満たせば、家裁の審判を経て戸籍の性別変更が認められるというもの。

事実上、④と⑤が手術を要し、身体への負担は相当酷なものだ。

例えば私が当事者ならば、手術はできないだろう。抱える自己免疫疾患は、異物や刺激で悪化することが多く、どんな症状を発症してしまうかもわからない。

この度の判決では④について「憲法13条が保障する意思に反して身体への侵襲を自由を侵害する」とした。

手術を要する⑤については高裁に差し戻し、申立人の性別変更がなされなかったわけだけれど、あれ?と思ったのは今月11日静岡家裁支部で生殖機能をなくす性別適合手術を要することを違憲とし、手術をしないままに、即日性別変更が認められた男性の件との相違だ。

この度の申立人は、男性から女性、静岡家裁支部の申立人は女性から男性への変更なのだ。男性から女性への変更の場合、外観の規定ではやはり手術を強いることになる。 
 今回、⑤の外観については手術を最高裁が違憲とせず、審理を高裁に差し戻したからなのだ。

 これについて、最高裁15人の裁判官のうち3人は外観要件も違憲とした。宇賀克也裁判官、三浦守裁判官、草野耕一裁判官の3人だ。宇賀裁判官は、不利益を受ける当事者には待ったなしの問題。救済には、一刻も早い特例法の全面見直しが求められるなどと反対意見を述べている。

 

人権に関して、何歩も遅れている日本。

性的マイノリティーに過酷な手術を強いて、やっと認めてやるぞなどという法規定がまだ生きるのか。

ただ、今回それを違憲だとした3人の裁判官、宇賀克也裁判官、三浦守判官、 草野耕一裁判官の名前は記憶に刻みましょう。いずれも選択的夫婦別姓を認めないことにも違憲などとしています。

 

 

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