見る夢は悪夢

　先に外に出た小さな課長が窓に映った。

それを横目に出張先の事務所の2階で、私は名刺を探している。

探しても探しても、自らの名刺がないのだ。

あるのは他人の名刺だけ。

印刷屋さんがくそ忙しいこの時期になんで名刺の注文をしておかなかったのだぁ。どうかしている。

１枚、１枚 、名刺入れの中の名刺をめくっても自分のものは出てこない。

窓の外では、課長の元に関係者がぞろぞろと寄って来ている。

とりあえず、１枚でいいんだ。１枚あれば、なんとか言いようがあるんだ、焦るなと自分に言い聞かせる。

けれど見つからない。

じんわり汗ばんで、ふっと目が覚めた。

夢かぁ。 

出張先は青森だな。

身体を起こすと、

あの頃に戻るのは嫌だと思った。

真昼間の夢だったからか、一瞬我が身が太陽に当たることもできない難病を長く患っていることを忘れたのだろう。

傍に置いてある帽子を被って、手探りで照明のリモコンを手にして小さな球の灯りを点けて、

我に返った。 

今だって嫌だよ。

４月の仕事場のあのバタバタした感じが、身に深く染み付いしまっているんだな。

今日の東京の最高気温は２２度、最低気温は１５度、曇り後晴れの予報です。

日本の皆様におかれましては、もうじき黄金週間で心身ともに休めるでしょうか。

休めない方も、なんとか生きてまいりましょう。