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2017年11月5日日曜日

明晩出直そう



牛のように大きく、
牛のように動かない
良人をやっとのことで列車に乗せた。
とびきり美味いものを食わせるからと、
餌で釣って、遥か故郷に帰るつもりだった。
列車に揺られること20分、
東神奈川で乗車した婦人が隣に座って、
どこかの機関紙を広げた。
すると、ひげの元隊長、国会議員の顔写真入り論文だった。
その時、何故だか、本当に何故だかわからないけれど、
帰省するに当たって必須の物を忘れたことに気がついた。
無口という病気の良人が、さすがに「探せよ!」と言った。
探してもあるわけがない。
カバンにしまった覚えがないのだから。
就眠前の朝方、支度を整えた。
そして迎えた真っ暗の5時30分、
ドラキュラと牛は覚悟の出陣をしたのだ。
ああ、それなのに、それなのに。
横浜駅のホームで 向かいに来た列車に乗って折り返さなければならなくなった。
10ヶ月ぶりの、帰省にやることは沢山あるのに、
夜の帰省は時間的制約が大きい。
戻ることのロスタイムに頭が真っ白になった。
改札口で駅員に事情を話すと、
入場料の130円がスイカから引き落とされた。
気の毒そうな顔をしてくれた駅員さんに慰められたような気がした。
再出発は、牛を置いて行くことに。
ところが、ぱらつく雨に傘と大荷物で、今度は杖を忘れてしまった。
それは、改札を通った直後に気がついたのだ。
列車にも乗っていないので、今度は無料で改札を出してもらうことができた。
泡と化した、帰省計画、
酷く疲れてしまった。
何もなかったように、いつものカフェで、
ジンジャーミルク紅茶を飲んだ。
気を取り直して、カフェを出る時、
くっちゃくっちゃと大きな音を立ててサンドイッチを食らう
にいちゃんに初めて気がついた。
私が、余程ぼーっとしていたのだろう。
本当は、東京タワーに行きたいのになと思いながら、
いやいやの帰省に天罰が下りたのか。
明晩、出直そう。



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