何も考えずに、
空いていたいつもの指定席に座った。
ジンジャーミルク紅茶を半分ほど飲んで、
カップを置いたとき、
隣のお姉さんに気がついた。
黒いシャツブラウスに、臙脂色(えんじいろ)の地色に黒と白ののチェックのタイトスカートを合わせていた。
組まれた長い脚は、かかとの高いヒールを履いていた。
22、3歳だろうか。
横顔は、飛び抜けて美しいというほどではなかったけれど、
頭の上の方で、赤いバレッタで止められた、
艶やかな栗色の髪が長く流れてとても綺麗だった。
うっとりと見つめた。
franc franc |
ところが、突然、刃を剥いた。
お姉さんのコーヒーカップの隣に並んだサンドイッチ。
それは小さいサンドイッチだったけれど、
パンがトーストされたもので、
食べにくさを感知したのか、
口に頬張る前から、口元に深いシワが寄って、白い牙を剥いた野獣のように、尖った犬歯が露わになった。
そしてがぶりといった。
その瞬間に、私は覚めた。
こういうことってある。
甘い思いが、そのワンシーンで、萎んでしまったのだ。
そんな夜でした。
今日の東京は最高気温17度、最低気温11度、
晴れ後曇りの予報です。
今日もお健やかに過ごせますように。
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