ついに地獄への扉が開く時を迎えた。
「あんこさん、遅いですよ。
その赤いバッグはなんですか?
まさか食べ物が入っていることはないですよね。」
ドアマンに手招きされて、
挙句にお小言を垂れられた。
「チョコレートとグルテンフリーのクラッカーだけですけど。」
力なく答えた。
「いいですか、地獄ではグルテンフリーもへったくれもありません。食い漁ること自体が禁じられております。」
「へい、へい」
もう、10年目の地獄だから承知していたけれど。
「バッグは投げ捨てまますよ。えーい!」
「階段を踏み外さないように。お足元に気をつけて。」
「では、またお会いできますように。」
階段を踏み外さないようにと言ったって、
一段一段降りても、踏み外しても、
行き着く先は地獄なんだから同じだ。
「バーカ!」
もうやってられない。
今日という日から、日の入り時刻が早まり始めるのだ。
太陽に当たれなくなってからついに10年目を迎える。
日の入り時刻が再び早くなるのは来年の7月5日だ。
あと7ヶ月、それまで日毎険しさが増して行く。
遠いな。
「あんこさん、遅いですよ。
その赤いバッグはなんですか?
まさか食べ物が入っていることはないですよね。」
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挙句にお小言を垂れられた。
「チョコレートとグルテンフリーのクラッカーだけですけど。」
力なく答えた。
「いいですか、地獄ではグルテンフリーもへったくれもありません。食い漁ること自体が禁じられております。」
「へい、へい」
もう、10年目の地獄だから承知していたけれど。
「バッグは投げ捨てまますよ。えーい!」
「階段を踏み外さないように。お足元に気をつけて。」
「では、またお会いできますように。」
階段を踏み外さないようにと言ったって、
一段一段降りても、踏み外しても、
行き着く先は地獄なんだから同じだ。
「バーカ!」
もうやってられない。
今日という日から、日の入り時刻が早まり始めるのだ。
太陽に当たれなくなってからついに10年目を迎える。
日の入り時刻が再び早くなるのは来年の7月5日だ。
あと7ヶ月、それまで日毎険しさが増して行く。
遠いな。
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