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2019年1月18日金曜日

カフェにて



 重い荷物を下げた腕も冷えきって
すがるように入ったカフェには、
人が誰もいなかった。
ほっとさせてくれたのは、カウンターの女性スタッフだった。
きめ細かいシルクのように滑らかな白い肌の彼女は、
メガネをかけている。
楚々とした女性で、20歳そこそこか、落ち着いているので20代半ばかもしれない。
私はいつも彼女を見ると、おかしなことを言って、くっすっと笑わせて見たいと思うのだ。


コーヒーは淹れたてのを席まで運んでくれると言う。
またそれも嬉しかった。
やはり淹れたての美味しさに勝るものはない。
すると奥から他の女性スタッフが出てきた。
彼女もまた同じタイプの女性で、同じくメガネをかけている。
「(メガネが)お似合いよ。」と言いたくなるぐらい、
メガネという一つのアイテムが楚々とした美しさを際立たせているのだ。
私は肩の力がすっと抜けて、2人の美しさに酔いしれるようにいつもの指定席に座って、運ばれてくるコーヒーを待った。
 トレーを持った彼女が目の前に立ったとき、
私は気を失いそうなぐらい感激した。
クリームもお砂糖も普段は入れないけれど、もうみんな入れてしまおうという気持ちになった。
うっとりとしていていると、隣にいつもの男がやってきた。
私の指定席は、向かって右から二番目だ。
男はその隣の三番目に座る。
驚いたのは、昨夜と同様にアップルパイをトレーにのせて男が戻ってきたことだ。
マイブームなのだろうか毎晩毎晩、男はアップルパイを食べている。
スィーツ好きの私だけれど、このカフェのアップルパイは甘くてかなわない。


男は、30代半ばだろうか。
昨夜は紺色のPコートを椅子にかけて、合わせたように紺色のセーターを着ていた。
テーブルにノートパソコンを置いたものの、昨夜はスマホだけをいじっていた。
男の身なりはいつも整っていて、本を読んでいることが多い。
私のガラ携の着信音が鳴ってしまった時には、私は身が縮む思いだ。
そして、ちょっと男の顔を見るのだ。
そんな神経質な匂いが放たれている男なのだ。
もしかすると、アップルパイ一つをカフェで食して、夕食は摂らないのかもしれない。
夕食は、身体に負担だからとか考えていそうだ。
顔立ちも整って、色白で、いわゆるイケメンなのかもしれないけれど、供に暮らす女性はいないだろうと思う。


カフェで、ケーキを食べて、
スーパーマーケットで100円値引きのとんかつ弁当を買って、
帰宅して、飲み込むようにとんかつを食べているところを
アップルパイの男が見たら言うだろう。
「止めなさい。」
事によると、とんかつ弁当は取り上げられて捨てられるかもしれない。私は、そういう男とは暮らしては行けないな。
男に「一緒に暮らそう。」と言われたことはない。

今日の東京の最高気温は10度、最低気温は2度、晴れの予報です。
風が冷たい金曜となるようです。
今夜のちょっと一杯は、コーヒーとアップルパイにして、早めに帰りましょう。



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