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2020年3月23日月曜日

風がかけぬけた夜



 およそ11年ぶりに窓が開いた。
それは、そう大きくない納戸の窓だけれど、
夜の向こうに象の行進を見たような感動だった。
私は、たった20秒たらずで、弱い紫外線でも皮膚が火傷になるものだから、電灯とは比にならない太陽光はとんでもないのだ。
普段、寝起きして、食事をする生活スペースの居間は完全に太陽光を遮断しないと、居られない。
だから、窓という窓は全て塞いでいて夜も開けることはできなくなっている。
ほんの少しでも隙間があれば太陽光が差し込んできて、
お茶一杯飲んでいられない。
閉ざされた空間で、換気扇はただ空気をかき混ぜているだけのようなもの。
家の中は、一年中蒸し蒸しと亜熱帯のようだ。
何もしなければ、湿度は70%、酷い時は90%を超える。
暑い、寒いという季節はエアコンで湿気が どうにか解消されけれど、20度ぐらいの半端な季節には、小さな除湿機をつける。
除湿機にもこれまた稼働ランプが点いている。
除湿機のランプの全ても遮光布を貼り付けて、それでもランプの光は漏れてくるので廊下で稼働させる。
けれど、カビ、ダニ、やがては今時分からクモが数多く出没するのだ。
くも、すこぶる怖し。
なんとか通気できないものか。


昨年から、パーフェクトに太陽光を遮断することを要しない納戸の窓を開けることができるようにと、高校時代の同級生の建築士さんが足を運んでくれて、その方策について知恵を絞ってくれた。
そして、先月から重い工具を担いで電車に乗って、数日に渡って作業してくれたのだ。
完成した翌々日、先週の日曜日の夜に、従来の窓のガラスと窓枠ににぺったりと貼り付けていた完全遮光のカーテン生地を 良人(りょうじん)がはがして、窓が開く瞬間を迎えたのだ。
納戸部屋の荷物が多く、考案してもらった仕掛けの一部が実施できないこともあって太陽光は完全に遮断されてはいませんが、予想以上にビュンビュンと風が入り、湿度は驚きの50%〜60%にと大きく改善しました。
遮光の仕掛けについては、同様に光線過敏で悩む方々のために後日改めてお伝えします。

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