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2020年3月14日土曜日

金曜日は崎陽軒の幕の内弁当



 もう3日前になるだろうか。
私は、夜道を一心不乱にひたひたと行った。
杖が足に絡まりそうになりながら。
コロナのおかげで、駅ビルの閉店時間も早まっている。
私の例えようもなくまずいごはんを食してから家を飛び出したのだった。
すでに駅ビルの手前の入り口はシャッターが降りていた。
落胆しつつも、その晩の私は引かなかった。
金曜日には美味しい物にありつけたいから。
私は、開いていた入り口から崎陽軒の売店まで真っしぐらに
突き進んだ。
辺りには一面煙るように、地引き網のような網が降りていた。
私は、網の目に両手の指を引っ掛けて、真っ赤なチャイナ服に身を包んだ、田川さん(仮名)に向かって声を限りに叫んだ。
網にかかった大マグロの声を聞いてくれとばかりに。
「幕内弁当2つ!中華弁当一つ!、シウマイ一つ!金曜日の夜便でぇ〜」
マスクをかけた田川さんも「いつもありがとうございます!」と言って注文を復唱してくれた。
息せき切らしていたけれど、やれやれの瞬間だった。


そうして迎えた金曜日の夜だった。
本当は、高校時代の同級生で建築士の友人と一緒に食するつもりだったけれど、時間的に厳しいということだった。
太陽光をシャットアウトすると、窓の開閉が困難で通気性がなくなるという問題を抱えているのだ。
その件で、建築士の友人が横浜から再三足を運んで、作業をしてくれている。


話は、お弁当に戻って、
最近すっかり虜になっているのが幕の内弁当だ。
飽きないおかずで、ボリュームがあるのがその理由かと思う。


飽きないおかずの一番手は、エビフライだ。
私は、これをおしまいまでとっておく。
エビフライの後方に控えている、定番の筍煮から食すのだ。
この時、この世に崎陽軒がある限り、泣いちゃいけない我が人生と思うのだ。


 病身になって、我がふるさとは遠くなったけれど、
ここに故郷ありと次にシウマイを食す。


艶やかなるは、私の心と崎陽軒のごはんなり。
蒸されたご飯は、家で炊くご飯とはわけが違う。
大事に蒸されているのです。
白いご飯の小山に、カリカリの青梅は、日本の魂に木霊する。


照れくさそそうに、入っている菜の花の醤油漬けを、
元気をお出しと、起こして食す。
次は、赤魚の照り焼きだ。
シウマイと仕切りを隔てて、大人しく入っている。
その後は、しばらくご飯タイムだ。
赤魚と同じ仕切りの中の里芋煮を食し、エビフライの盟友のように収まっている鳥の唐揚げを食べる。
またしばしのご飯タイム。
そして、おやおやと、人生の意外な展開を期待するかのように毎回、驚きを持って トンカツを食べる。
トンカツはエビフライの下敷きになっているのだ。
そして、かまぼこ、卵焼きと進んで、最後にエビフライを食して、
昨夜も大満足でした。


今日の東京の最高気温は9度、最低気温は2度、雨時々曇りの予報です。
雨ですし、巣篭もりには崎陽軒のお弁当をどうぞ。
そうそうダイヤモンドプリンセス の乗員乗客にと運ばれて、届かなかったという崎陽軒のお弁当はどうなったのでしょうかね。
届いたなら喜ばれたでしょうに、勿体なかったですね。

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