立ち去ったはずの冬が
振り向いて、舐めんなよ!
と捨て台詞を吐いたものだから
凍える寒さの4月の初まりとなりました。
さて、魑魅魍魎が跋扈するこの世を憂い、肩をすぼめて抱えた両ひじを摩りながら夜道を行ったのは久しぶりの歯医者さんでした。
昨春、まだあまり世間に知られていない別の難病を発症していることがわかり、元の難病の主治医からは歯科治療は極力控えるように指導されている中での、歯医者通いは極めて気が重くありました。
歯科治療では、死人のように完全遮光の布を顔にかけて施してもらいますが、どうしても首の防備が手薄になる。
二つ目の難病は、首や顔に光に当たると顎下腺や耳下腺炎、唾液腺が腫れてくるのです。
昨春は、美容院の照明の反射光で瞼の上は殴られたように腫れ上がり、おたふく風邪かというふうに頬は腫れ、顎は引けないほどに大きな拳ができたのです。
昨夜は、思案の後に、 完全遮光の布を首に巻いて洗濯バサミで止めた。
健康であった時の20年以上前から通うその歯科医院では、歯科医もスタッフも待合から治療室まで可能な限り照明を消して、極力治療以外では照明を点けないで、対応してくれた。
歯科医は、まだ世間に知られていないその難病のことをやはり初めて知ったと言う。
結果、虫歯が軽いので自己免疫の異常が大きく振れている春の治療は避けて、秋冬まで治療を延期することとなった。
帰り際、もっぱら日中治療をする夫人の歯科医師が温かく声をかけてくれた。過去には牛男さんが車椅子を押して通院した時代もあった。
今、難病とは別に仕出かした問題で、
私はリングのコーナーにマウスピースを吐き出してへたり込んで座っている。
幸いにして 幾人かの友人らセコンドが、相手を良く見ろ!
相手の出方を待つんだ。向こうはまずジャブで来るとアドバイスをくれている。
世間というリングには、魑魅魍魎ばかりなりと思っていたけれど、温かい血のかよう人間もいるんだな。
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