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2016年6月23日木曜日

青春小話



高校2年の青葉がむせるように深かった6月のある日、
A棟と言われる校舎の前、
中庭に、
すらりとした女生徒が2人佇んでいた。
クラスメートの中村さんと田中さんだった。
中村さんは今にも泣き出しそうに
悲しい顔をしていた。
元々静かな、しなっとした美しい女生徒。
垢抜けた女生徒で、今思えば私服はどれも高級な物だったと思う。
「フラれたわぁ。」と田中さんに言った。
「こんな格好よ。
今日は、おしゃれをする気にはなれなかったわ。」
赤と白のギンガムチェックのブラウスと紺色のデニムのタイトスカートを触りながら言った。
その日は学園祭当日で、
女生徒は華やかな私服を着ている子が多かったので、中村さんのギンガムチェックとデニムは、色褪せたように沈んでいた。
幼稚だった私は、
こんなにモテるタイプの人がフラれることがあるのかと
不思議に思ったことを覚えている。
田中さんも誰かへの思いが募っているようで、2人は恋愛カプセルに包まれてしまって、学園祭の支度に忙しく追われるクラスメートと違う空気の中だった。
(登場人物の名前は仮名です。)
青山フラワーマーケット

今日の東京は、最高気温25度、最低気温21度、雨時々曇の予報です。
うっとうしい毎日ですが、皆様も青春の1ページを思い出して爽やかな気分を。


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