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2015年5月10日日曜日
カフェにて
ドラキュラの重い気分を払拭してくれるのはカフェだ。
となりのお姉さんは、
一生懸命勉強していた。
赤いセロファンを片手にそれをかざしたり、
書きなぐったり。
まつ毛は3センチ
とてもキュートで入浴中です、というような髪にまとめていた。
少しずつ分けた髪がくるくるとねじられて
リボン型のターバンの中に入っていた。
見とれていると、そこに小柄な占い師の女が入って来た。
「お母さん、ここに座って。 」
今夜は母親とコーヒーか?
小柄な女が占い師だと分かるのは、つい先日もこのカフェにいたから。(もう一度)
カフェの小さなテーブルに持参したクロスを敷いて
カードを何度もなんどもならべては、流してまたならべていた。
その時の客は、
肉感的な熟女だった。
個人事業主と思われる熟女は
アプローチしている人々が金になる客かどうかを次々と占ってもらっていた。
前のめりになった時、むっちりとした背中のブラウスのボタンがパチンと弾けた。
占い師の女は、酒とタバコで声を潰したのか、ハスキーボイスだ。
今夜の実母かと思われたお婆さんも、客だった。
早々にクロスを敷き始めた。
おばあさんは「通帳をどこにしまったかわからなくなっちゃって。」「1階も2階もどこを探してもないのよ。」とお店に入るなり、繰り返し訴えていた。
まさかと思ったけれど、今夜の依頼内容は、『どこかにしまった銀行通帳が、どこにあるか。』だった。
回答は実に早かった。
カフェの店員が嫌味なのか「花札ですか?」と尋ね、
「そ・う・よ」と答えるやいなや、女は、おばあさんに向かって
「1階にあるけれど、探すのがとても大変なところにあるわ。」
「新しい通帳を作った方が早いとカードに出ているわ。」
おばあさんは、感心したように「そう〜。」と言って座り直した。
2階屋だったら、大事な物は1階にあるだろう。
そして散々探した末にないと言っているのだから、身分証明書を持って銀行に行き、新しい通帳を作るのが早いと誰しもが言うのじゃないかな。
私も導いてもらおうか。
「難病なんですけど、治りますか?」
答えは明白だ
「難しいですね。」
「上手く付き合っていくしかないでしょう。」
そりゃそうだ。
治らないから難病だ。
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