山本さんの所属するたすけ合いの会は所在地の影響も大きいのだろうけれど、今や子育てのサポート需要が旺盛でその対応に追われているらしい。
共働き世帯の子どもを保育園に迎えに行き、次に公文やバレエなどのお稽古に連れて行き、終わるまで待って、おうちで夕食を作って食べさせ、パパが帰宅してお役ご免というパターンだそうだ。大抵はママの帰宅の方が遅いそうだ。
共働き世帯と言うと、フーフー慌ただしいイメージがまず浮かぶけれど、大都会のタワーマンションの住人だから、高収入世帯、いわゆるセレブともいえよう。
話がそれるけれど、大抵はママの方が帰宅が遅いと言うのは、やはり産休、育休を取ったからには、人の倍は仕事をせよという暗黙の何かがあるのじゃないかと思ったりする。
前回山本さんにお世話になった時、未来ある子どものお世話は、楽しみですよねと言った。
辛気臭い難病患者のサポートはいつ断られるやらという、心細さとひがみの気持ちが私にはあった。
その言葉が響いていたのか、山本さんは、「長く難病の方のお世話もしていますよ。」と言った。難病で例え障害認定を受けていたとしても公的サービスが利用できるのは極僅かな時間の限られたサポートだけだ。入院すれば、食事を口に運んでくれる人もいないのだ。そういうこともやってきたそうだ。「私で少しでも役に立てればと思っている。」と。
美しくて、心も清らかな人って世の中にいるんだな。
そういう山本さんは、普段何を食べているのだろう。
お豆腐とお野菜しか食べないのじゃないかな。
そう思いつつも、良人が帰省したので、気になっていたとんかつ屋さんに行ってしまった。
40年近く営業していたと言うとんかつ屋さんが一昨年暖簾を下ろしてからは、とんかつはサボテンとなっていた。
オープンしてまだ数ヶ月というお店は、マンションの地下で、ドラキュラに最も優しいハロゲンライトがところどころあるだけだった。1500円の上ロースと2000円の特上で迷ったけれど、GWなので特上にしてみた。
これが予想以上の美味さで、ついに私は人生最後の晩餐をすませてしまったという感じだ。牛に霜降りはあっても豚に霜降りはあるのか?という程に、噛む必要がない赤身と脂身がまざっちゃって、もう終わったなと思った。
人間がお馬鹿になってしまう旨さだ。
そして、こういう物を食していると心は清流には遠く、どろどろになるような気もした。
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