置地廣場 |
チベットと言われる故郷は遠い。
一大決心、覚悟を決めて出陣計画を立てた。
大荷物がなければ、ずるずると1ヶ月また1ヶ月と延ばし続けたに違いない。
何せ荷物が我が家の外にまで出てる始末だから。
それを戻しに行かなければ。
もう一つの目的は、中学の同級生にお願いごとだ。
その同級生とも数十年音信不通で会ってもいない。
約束は8時ごろ、いつもお世話になっているNPO法人の移送サービスのおかげで、時間通り8時数分前に到着した。
忘れてしまっているかと思った級友の家は、思っていた所に昔のままあった。
しかし、朽ちかけた雨戸はどこも閉ざされて、ピンポンを押しても応答もなく、だいたい、人の気配が感じられない家だった。
彼も結婚してからその親の家に長く住んでいるのに、表札は昨年亡くなったという彼の父上の名前のままだ。
しばらく待ったけれど、メールもこない。考えてみれば、固定電話は出ないからと番号を教えてもらえなかったし、携帯の番号も知らなかったことに気がついた。
まあ、実家に帰れば固定電話の番号はわかるし、家も知っているからと甘く考えていた。
今や、夫婦二人で暮らしているともらった電話で言っていたけれど、奥方も出てこない。ずっと勤めていると思っていた会社は3年前に辞めてしまったとも言っていた。
漏れてくる灯もない家を目の当たりにして、なんとも言えない気分になって、級友の家を離れた。
たぶん、お願いごとは止めた方がいいだろう。
そんな気がした。
長い年月が流れて、人も変わっていることもある。
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