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2021年2月16日火曜日

マックにて


雨上がりの月曜の夜は、思っていたより大勢の人がいた。
お池の縁に連なる玉石のように、広い店内の縁のぐるりに人が座っていた。
空いていたのは、中央の席ばかりだった。
広い店内の中央はどうにも落ち着かない。
仕方なしに、椅子にコートをかけて、桜草の君の待つカウンターへ向かった。

 
セーターに春物のコートではじんわり汗ばむ暖かな夜で、冷たいスプライトとホットコーヒーをオーダーした。
桜草の君の笑顔に変わりはなかった。
スプライトが喉を通過して、冷んやりした時に、肩の緊張がスーッと溶けていく。
 

 
前の晩は散々だった。
マックの営業時間の短い土日はどうもいけない。
起きても、マックに間に合わないと思うと気力が失せてしまうのだ。
夜の7時に牛男がカーテンを開けに来たけれど、私は布団を被ったまま死んだふりを決め込んだ。
カーテンを開けても、窓はなお覆われているのだけれど、完全遮光のカーテンの弱みで通気性がないので、どうしても窓の覆いにカビが生えてくるので、 真っ暗になったタイミングでカーテンを開けなけれなならないのだ。

眠る私に遠慮していた牛男も、流石に夕食を作るべく起床して欲しいのだろう。それをわかっていて、マックがない夜に不貞腐れた私はついに起きなかった。


 

薄暗い店内を見渡すと目も慣れてきて、
向かいの玉石は、根雪色の手編みのセーターを着たいつかの老人だった。
最初にそうとわかったのは、携帯電話の話の内容がマンション管理組合の理事会の話だったからだ。
後ろの方の玉石は、紺色のジャンパーを着た常連の老人で、いつも帳簿をめくるふうに、帳面のその端を唇に当てた指先でめくっているような感じの人だ。
中年より若き人々は、皆パソコンかスマホに向かい合っている。
雨が止んで、自宅で仕事をしていたけれど、気分転換にやって着たという感じで極めてラフな格好でいる。
離れたカウンター席には いつもの羊のおばあさんがいるのも入店前に認めていた。
今夜はラジオ体操をやる空間はないなと思っていたけれど、7時半を回ると1人、また1人と消えて行った。
そして、私はいつものように、腕を大きく振って、足を前に上げた。

 今日の東京の最高気温は10度、最低気温は2度、晴れの予報です。

本日も当ブログにご来訪いただきまして有難うございました。



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