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2019年12月14日土曜日

となりの同窓会

置地廣場

ようやく昨夜遅くになって、私は最近届いた郵便物の整理をした。やっぱり通院がある週はかなわない。
すると一通の手紙を発見した。
封書は牛男あてで、裏には送り主の名前と高校名とその卒業期が記されていた。
私は躊躇することなく封筒を開封した。
手紙はクラス会か同期会の案内に違いないと思ったからだ。
私自身も手紙が安易に処分されないように、暗に同期会の案内だというように高校の名前と卒業期を記すから。


 年初、牛男に届いた同級生からの年賀状に、つい先週同期会に行ってきましたと添え書きがあるものがあったのだ。
つい先週ということは、師走に同期会があったということだ。
私は、牛男にも案内が来ていたに違いなく、それを牛男は山羊のうように読まずに捨たに違いないと直ぐに思った。
私には、同期会の案内の手紙を書いて、切手を貼って、投函する煩わしさが身にしみて分かっている。
捨てさせてなるものかという思いがあった。


開封すると、案の定、同期会の案内と同期生メーリングリストへの登録の依頼だった。
同期会の場所は中華街で夜だ。


牛男が行かないなら、私が代わりに行きタイ!
ハゲ頭のカツラを被って。
てっぺんに毛が3本生えているカツラだ。
ところが、よく見ると、同期会は一昨夜だった。
私は、脱力した。
200人もいない牛男の同期の人たちはどんなだろうと常々思っていた。
もっと早くにこの手紙に気がつけば良かった。
牛男に綱をつけてぎゅうぎゅうと引っ張って行ったのに。
それでも牛男は踏ん張って動かないだろう。
無口という病気の牛男は、喋るのが嫌なのだろうか。
でもトーク上手の人なんてほんの一握りだろう。
お笑いタレント養成校というわけではないのだから。
だいたい、私の高校だってよくよく思い返せば男子の半分以上は無口な静かな学生達だった。
無口同士で見つめ合っていればいいじゃないか。


 夜、私は切り出した。
同期会の案内が来ていたこと、残念ながら過ぎてしまったこと、
メーリングリストに登録して欲しいことが記されていたと。
牛男は食事をしながら、黙ったままだった。
私は、メールアドレスがわからない人にクラス会や同期会を知らせる苦労を言い聞かせた。
いやいや牛男だって側で見ていてそれは分かっているはずだ。
ところが、 牛男は「嫌です。」の一言だ。
同期会の出席もメール登録もノーだと言う。
私は、大きな声で
「だいたいね、私は、同期会やクラス会でクラスメートを、鉱石を掘り出すように、必死で掘り出しているのよ!」
「それなのに、アンタはどうして、掘り出されまいとする人なのよ!」
すると牛男は、突然噴き出して、食べていた千切りキャベツが空を舞った。
話はそこで終わってしまった。
掘り出されたくない人もいる。
私も疲れたので、来春のクラス会に向けて採掘作業はもう止めようと思った。

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