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2018年5月14日月曜日

愛し合う2人のGW

photo Ushio

「ママ〜」
犬が糞をしたあとに後ろ足で土を蹴るように
牛男は靴を脱いで、居間のドアを力強く押した。
「お帰り!」
「遅かったじゃないの。
ママ待ちくたびれちゃったわ。」
椅子から、よっこらしょと立ち上がった小さな義母は、
牛男に近づいて、牛男の大きな背中をさすりながら続けて言った。
「やっと鬼嫁に解放されたんだね。」
義母の目には涙が滲んでいた。
「馬鹿ケチ嫁が、忘れたブルーベリーを取りに戻れって言うから
遅くなったんだよ。」と牛男。
「本当に馬鹿嫁だね。ブルーベリーなんてこの辺でも売ってるわよ。」と義母。
 パパが息をひきとる時
「「嫁に外れた〜」と言って逝ったけれど、本当にねぇ〜」と肩を落として義母が言った。
「ママが、はしゃいで結納だの式の段取りをどんどん進めるから。私は断りたかったんですよ。
ママは社会に出たことがないから、人を見る目がないのですよ。」と強い口調で牛男は言った。
「あら、それを言うならパパだって、親戚中に電話して、牛男が結婚することになったって言ったのよ。」 と義母。
「でもパパは、最初からあの女は料理なんかせんぞと言ったよ。」と牛男。
「そうだったわね。お料理もお裁縫も、掃除も洗濯もできなくて、挙句に体が弱かったなんて。強いのは気だけなんだから。」と義母。
「そのとおり!」と牛男は言いながら手をパチパチと叩く。
「もうよしましょ。そんな事を言ったって時計の針が戻るわけじゃないから。」と義母。
photo Ushio
 
 「それよりね牛男ちゃん、今日はゆっくり休んで、明日ね、オーブンと空気清浄機を買いに行くのに一緒に行って欲しいの。」
「いいよ。そうそう鬼嫁にママが電子レンジ捨てた事を言ったら、年寄りの必需品をなんで捨てたんだと言っていたよ。」と牛男。
「余計なお世話だよ。私は、電子レンジなんて使わないんだから。」
「あんこはなんでもチンなんだね。牛男ちゃんは、チンしたものしか食べさせてもらってないのね。可哀想に。」と義母。



 家電を買った二人は、百貨店へ。
 「まあ、すごい人ね。」
「並んで待つの嫌だ!」と百貫デブの息子は言った。
「そうね、地下で何か買って2人でお家で食べましょうか。」と小さな老女な言った。
「ママこれがいい!」
「オムライスはいつもパルシステムのをチンなんだよ。」 息子はホテルオークラのオムライスを指差して言った。
「まあまあ、オムライスもチンかい。」
「サンドイッチも買って!サンドイッチはいつもコンビニのなんだ。」
photo Ushio

 「ママはマンゴが食べたいのよ。」
photo Ushio


 「まあ、病気になりたくてなったわけじゃないからね。
昼間出かけることができないんだから、可哀想ちゃ可哀想なんだよね、あんこも。またジュースでも送ってやろうかね。 」
photo Ushio

「明日は、地元のお店を見たいのよ。」
「いいよ。」
photo Ushio

3日目は、2人で地元を見て回った。
「とりあえず、牛男ちゃんが帰ってからお腹が減らないように、
ね。」
「ママ!中華惣菜セットがある!これ買って!」
「はいはい」
「チャーシューは何日かもつわね。」
「あっ!大船軒の出店だ!」
「サンドウイッチ買って!」

こうして帰宅した2人にお別れの時がやってきました。
「鬼嫁がヒステリーを起こしたら、帰ってきなさいね。」
「ママ、私も頑張りますから。ママも・・・ 」
photo Ushio

躁状態となったとは言え、元々無口という病気の良人は、
義母とどう過ごしたかを語ることはありません。
今日のブログは、写真とお土産を元に私が空想したものです。

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