黒いニット帽を被った若い男女が、
歩道の脇に佇んむ奇妙な格好の老婆を大きく避けて、
車道を歩いて過ぎて行った。
丁度その時だった。
ビルとビルに挟まれた空に火球が走ったように、
濃紺の小さな空に白い太い線が引かれた。
「見たー!」そう叫んだ私は、
火球を胸にキャッチした気分になった。
シュワっと音さえも立ったようにそれは確かな軌跡だった。
ふと我に返って時刻を確認すると3時27分、
その後、なんで「病気平癒」を願わなかったのだろうと大層悔やまれた。
この頃の私は、襟巻きをぐるりと巻いて、冷え込む外に出るのがひどく億劫になっている。
かつて、ドラキュラである私は長い夜を謳歌するように丑三つ時にいそいそと24時間営業のファミレスに通った。今ではそれが夢の出来事のようだ。
全国のファミレスで、以前のように客が入らず採算が取れないからと24時間営業はもとより深夜営業をやめてから程なく、コロナウイルスの襲来で、営業時間はさらに制限されるようになってしまった。
2018年にも私は流星を見ているけれど、それはファミレスの帰途だったと綴っている。(ふたご座流星群を見た!)
あれから、随分と時が経って、なんだか急に老いぼれた気がする。
流星って、ダイヤモンドが降ってくるわけじゃないんだよな。
ぐずぐずと、身支度をして、
歩き回っても空はビルに阻まれてどこもモザイクで、
見えるわけないが心を圧倒していた。
そうしてびっくりして終わってしまった。
明日の東京の最高気温は14度、最低気温は5度、晴れ時々曇りの予報です。
今夜も長い夜に、星が走り続けるでしょうか。
ご覧になれる方はしっかり願いを届けてくださいな。
0 件のコメント:
コメントを投稿