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2021年12月22日水曜日

お花屋さんの閉店

2016年12月撮影

初めて見るシャッターに私は茫然となって立ち尽くした。

お花屋さんが先週末で閉店することは、先月末に硝子戸に貼られた貼り紙で知ってはいた。それを見つけた時、私は何度も何度も読み返した。
何度読んでも、文字は変わることはないというのに。

私は、お花屋さんの閉店で生きる意欲を削ぎ落とされた感じがしている。

2020年12月撮影

 

オフィスビルの中の1階にあるお花屋さんにこれまでシャッターが下りたことはなかった。ビルが深夜には入口を閉じるので、人の出入りは残業するビジネスパーソンとビルのメンテ業者ぐらいのものだから、いつも硝子戸が閉ざされてクローズの札がかかっているのだった。

灯が落とされたお花屋さんには、硝子戸越しに美しい花々が眠っているのが見えた。

2017年12月撮影

 いつもいつも今時分は、燃えるようなポインセチアが並び、優雅な王女のようなシクラメンがひな壇に、我こそが一番美しいのよと言わんばかりに並ぶのだった。

2016年12月撮影

2020年12月撮影

クリスマスリースもいくつも並んだ。その楽しみももうなくなってしまったのだ。

ビルが開業した時にオープンしたお花屋さんなのでもう30年近く営業していた。

私は厄介な病になってどこにも行けなくなってから、一層お花屋さんのショーウインドーと店先に並ぶお花やディスプレイで季節を味わいそれを楽しみにするようになっていた。

2012年3月撮影
 

残る写真で一番古いのはガラケイで撮った2012年3月のものだ。
 

2014年11月撮影
 

晩秋の切なくなるような時分には、美しい静寂を伝えてくれた。

2014年9月撮影

2014年9月撮影

 春の連休には、色とりどりのカーネーションと小鳥が一緒に踊るようだった。

2014年4月撮影

雨が続く梅雨の季節には紫陽花の大海原に遭遇したようだった。


 

閉店にはコロナ禍が影響しただろうか。
母の日には毎年、2日、3日夜通しでカーネーションの梱包作業に追われていた。
その光景を昨年、今年と見ることはなかった。
優に五千人以上のビジネスパーソンが集結していたであろうオフィスビルは、昼間の様子は私にはわからないけれど、今の夜はその姿をぽつりぽつりと確認する程度だ。

これまでは、住まう街で母親に送る花を買う時間も持てずに、ランチタイムにビルの花屋で買って送る手はずをするビジネスパーソンが多かったかもしれない。

2020年6月

 オフィスに人が来なくなれば、受付のお花の需要も少なくなっただろうか。
あれこれ考えるが、どうになるわけでもない。
2016年10月撮影
 
こんな光景だって、明日も生きて行こうと思わせてくれた。
 
2017年12月撮影

 
印象深いディスプレイはいくつもあるけれど、そうしてブログに掲載させてもらっていたけれど、改めて私のお気に入りをお届けします。
 
2016年11月撮影

びっくりしたのはこちら。

2014年12月撮影
 


涼やかで、見惚れたのはこちら。

2014年7月撮影

2014年12月撮影

 毎日お店を閉める頃に、鉢植えはどこかへ揺られて保管されているようでした。

でも、もうこのトラックが明日のお花を積んで来る日はないんだな。

さようなら。
長い間ありがとうございました。

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