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2020年5月20日水曜日

ドラキュラが見る風景



まるで寄合所帯のようで、
隣の居酒屋との境目がどこなのかわからなかった通りに
ぽっかりと防空壕のような穴ができていた。
入り口も取っ払われて、ここがどんなお店だったか思い出せない。
私は、通り過ぎるだけの人であったけれど、
この店を必死で切り盛りして店じまいを決心した人がいて、
この店で稼いだ賃金で暮らしていた人がいて、
この店に通って飲食を楽しみ、心の拠り所にしていた人がいたのだ。
ドラキュラである私も心の拠り所を失った。
歩み続けて、カフェの入り口で肩を落とした。
営業を再開したらしいカフェの営業時間は午後5時までだ。
日の入り時刻の早い冬でもドラキュラは行くことはできない。
さらに進むと駅前の立ち食い蕎麦屋が夜の営業を再開していた。
とりあえず、大きな声を控えた注文方法に変えたり、席を一席空けることにしたらしい。


人々が並んで、お蕎麦をすするのが当たり前だった立ち食い蕎麦屋もこの先もずっと、提供スタイルを変えざるを得ないのだろうか。
こちらのお店では、夜の営業と言っても、持ち帰りのみで、同時に出前も始めたと言う。
どちらも、これまでの駅前の立ち食い蕎麦屋では、考えられなかった提供方法だ。



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