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2020年4月26日日曜日

救世主は崎陽軒のシウマイ弁当



 彼方に見えるは夢か現か幻か。
赤いチャイナドレスに身を包んだ女性がいる。
女性の前に積見上げられた、黄色い包み。
新型コロナ感染拡大防止、外出自粛のおかげで、
私は毎日のおさんどんにも疲れ果てて、幻覚でも現れたのかと思った。
ぐいぐいと近づいて行くと、
赤いチャイナドレスの女性は確かに田川さんであった。
思わず「田川さーん」とすがるように声を出した。
「ああ、あんこさん!」
互いの声がマスクに遮られて小さく響いた。
そして、それはまるで幼き日に生き別れた姉妹が苦難の道のりを経て、30年ぶりに再開したかのごとくであった。
「田川さん、私、もう死んじゃいそうよ。毎日のごはん支度でへとへと。」と言うと、
白いマスクで顔を半分覆った田川さんは、それは苦労であったとばかりに
「そうでしょうよ。そうでしょうよ。」と優しい声で頷いてくれた。
私の目には涙が湧いて、命拾いをしたかのようにヘタっとその場にしゃがみ込みたくなった。


夜のスーパーマーケットの片隅に小スペースだけれど 崎陽軒の出店があったのだ。
しかもその日が初めての出店だと言う。
そのスーパーマーケットは閉店時間が早くなって私はなかなか足を運べなくなっていた。
偶然にも出店初日に出会うとは、シウマイのお導きか。
5月6日までは毎日販売してくれると言う。
救われた。



並んだ昔ながらのシウマイに号令をかけて5つ確認した。
鮪の漬け焼きも、千切り生姜も、昆布もあんずもみんな主役だ。
有り難う、崎陽軒、有り難うシウマイ弁当!


登場人物の名前は仮名です。
今日の東京の最高気温は25度、最低気温は13度、晴れ時々曇りの予報です。
本日も当ブログにご来訪いただきまして有り難うございました。

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