手袋が恋しいほどに寒かった。
気温は8度。
日付が変わったばかりの土曜の0時過ぎ、
今が見頃の重い八重桜の枝を風が大きく揺らし続けていた。
麗しい八重桜を捉えることができずに、身体だけが冷えて、悲しい気持ちにさえなった。
諦めきれずに、風の音、ばさっばさっと花房がぶつかる音が響き渡る八重桜の並木道を歩み続けた。
すれ違う人もいなかったけれど、
コンビニの灯りを頼りに、カメラを構えていると2台の自転車が止まった。
「なんだか悪いことしているみたい。でもいいんだよな、コンビニに買い物に来るのは。」
黒いマスクの青年の言葉に、もう一人の黒いマスクの青年がコクリと頷いた。
私もコンビニに入って、サツマイモのチップとフレンチトーストを買った。
コンビニのカウンターには、ビニールシートが垂れて、スタッフと客の間が遮断されていた。手元だけが空いているのだ。
雲が次々に風に流されて、
欠け始めた月は点滅信号のように、出たり消えたりしていた。
濃いピンク色のぽっちゃりした八重桜を存分に撮りたかったのに。
叶わぬ夜でした。
今日の東京の最高気温は14度、最低気温は8度、曇り時々雨の予報です。
風雨に負けず、八重桜が咲き続けてくれることを祈ります。
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