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2018年10月7日日曜日

慰労会

日本海庄や

良人は老いた。
私は、私が 死んだ後、良人が人知れずミイラになることが心配だと言った。
すると無口という病気の良人が珍しく
「直ぐに再婚するから大丈夫」と言葉を発した。
ところがそう言った直後に、良人は左の胸を抑えてうずくまってしまったのだ。
その後立ち上がったけれど、良人は確実に老いている。



だいたい10年前は、浴槽の掃除もしてくれた。
私の体調が優れず、1週間もお風呂のお水を取り替えていない。
私は、 こんな折に膀胱炎になるのが嫌で昨日は入浴を止めた。
良人は祝日も出勤で、年休も年初に消化してしまっていることも災いしているのだろう。
そんな良人に今朝届いたのは、永年勤続の慰労のお花だった。
それで、慰労会を開催することにした。
戻り鰹のたたき

 私は、慰労会の前、真っ暗になった夜の7時を過ぎてからシャンプーを買いに一度外に出た。
夜道を行く私は、歩けなかった10年前を思い出した。
良人が、私に代わって駅の向こう側の薬局まで行って、化粧品やシャンプーを買ってきてくれていたことを。
良人の再婚のハードルは極めて高い。
喋れないのだから。
いきなり婚姻届を意中の女性に出したところで、引かれるだけだ。
そんな良人から突然メールが届いた。
「同窓会の電話があった」と記してあった。
私は、ギョッとした。
良人は絶対に電話に出ないのに、どうして出たのだろうか?
一体どう応対したのだろう?
良人は、同窓会の出欠を言付かったか?
まさか、相手の連絡先まで聞き出すということまではできないであろうと。
やきもきしながら急いで帰宅すると、相手の電話番号が記してあった。
おかげで無事に、かつての同級生と電話で話をすることができた。
江戸焼き味噌がゆ

さて、慰労会と言っても、
いつもの日本海庄やだ。
下戸同士は、日本海庄やをご飯屋さんにしている。
良人は、秋になると 「この家は松茸が出てこない。」とぼそっとつぶやく。
私は、心の中で赤松の山を持ってないからね、とつぶやきながら毎年それを聞き流してきた。
なのでこの度は、良人の慰労に鱧と松茸の天ぷらを注文した。
秋刀魚のお刺身

食事をしながら、「お疲れ様でした」と私は言った。
すると良人は「電話に出ちゃったから凄く疲れた。」と答えた。
「何回も鳴るから、馬鹿(=あんこ)だと思って出たんだけど。」と続けた。
私の発した、「お疲れ様」は、勤続のお疲れ様のつもりだった。


  日本海庄やは、ただ今江戸時代料理フェア開催中です。
江戸焼き味噌がゆは、お味噌の塩分を心配しましたが、
お味噌の塩味は感じられないまろやかないいお味でした。
戻り鰹は絶品で、今が旬の秋刀魚のお刺身もとても美味しかったです。
この連休は、お近くの日本海庄やへどうぞ。

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