毎日酔えるって、いいなぁ。
ガラス窓に赤いペンキの文字が、
昭和レトロを演出していた。
1週間ほど前の夜のこと。
リーゾナブルなお値段で飲める居酒屋というアピールなのだろう。
開店準備に追われる居酒屋を覗けば、
ハシゴに乗って作業する人や、
備品を整える人で大わらわだ。
緊張がガラス越しにも伝わってきた。
昨夜は既に開店祝いのお花もくたびれ始めていた。
店内は一応連日賑わっている。
ちょいと撮影させてもらっていると、満願の笑みで現れた店長が、お花をどうぞと言ってくれた。
すっかり気を良くしたドラキュラは、
早速1本、2本と抜き取って、
「ワタミでしょ?」と店長にふってみた。
すると店長は、メニュー開発などで提携したけれど、
経営はあくまでも自分がやるのだと言う。
酔ったようにドラキュラは
「わたなべみきの高校の後輩なのよん!」とテキトーなことを言った。
すると若き経営者の目が輝いた。
私はそれを見て、花をどんどんと抜き取って行った。
真っ赤な花ばかりを選んで。
そしてまたテキトーを続けてしまった。
「わたなべさんは、従業員を独立させるのが夢なんだっけね?」と。
店長は私の言葉に、
「そう!実は昨夜、様子を見に来てくれたんですよ。」と嬉しそうに言った。
ぎしぎしと花を強引に抜き取っていると、
土台が揺れた。
一層、台ごと抱えて行きたいぐらいだった。
夢中で花を抜き取り続けていたら、
いつしか店長はいなくなっていた。
幻?
酔っていなくともテキトーなことをペラペラと喋るドラキュラだ。
酔えたなら、人生はさぞ楽しいのだろうな。
抜き取った花は20本を超えていた。
花は、結構丈があるものがあって、真っ赤なバラはススキのように1メートル近くある。
それをそのまま、狭い居室のあちこちに飾ってみた。
真っ赤な花たちの開店エネルギーが充満して、
久々に気分上々の夜になった。
今日の東京の最高気温は21度、最低気温は14度、晴れ時々曇りの予報です。
今日は金曜日、貴女も、貴方も酔ってテキトーになりましょう。
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