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2018年10月26日金曜日

ドラキュラが見る風景



 毎日酔えるって、いいなぁ。
ガラス窓に赤いペンキの文字が、
昭和レトロを演出していた。
1週間ほど前の夜のこと。
リーゾナブルなお値段で飲める居酒屋というアピールなのだろう。
開店準備に追われる居酒屋を覗けば、
ハシゴに乗って作業する人や、
備品を整える人で大わらわだ。
緊張がガラス越しにも伝わってきた。


 昨夜は既に開店祝いのお花もくたびれ始めていた。
店内は一応連日賑わっている。
ちょいと撮影させてもらっていると、満願の笑みで現れた店長が、お花をどうぞと言ってくれた。
すっかり気を良くしたドラキュラは、
早速1本、2本と抜き取って、


「ワタミでしょ?」と店長にふってみた。
すると店長は、メニュー開発などで提携したけれど、
経営はあくまでも自分がやるのだと言う。
酔ったようにドラキュラは
「わたなべみきの高校の後輩なのよん!」とテキトーなことを言った。
すると若き経営者の目が輝いた。
私はそれを見て、花をどんどんと抜き取って行った。
真っ赤な花ばかりを選んで。
そしてまたテキトーを続けてしまった。
「わたなべさんは、従業員を独立させるのが夢なんだっけね?」と。
店長は私の言葉に、
「そう!実は昨夜、様子を見に来てくれたんですよ。」と嬉しそうに言った。


ぎしぎしと花を強引に抜き取っていると、
土台が揺れた。
一層、台ごと抱えて行きたいぐらいだった。
夢中で花を抜き取り続けていたら、
いつしか店長はいなくなっていた。
幻?
酔っていなくともテキトーなことをペラペラと喋るドラキュラだ。
酔えたなら、人生はさぞ楽しいのだろうな。


抜き取った花は20本を超えていた。
花は、結構丈があるものがあって、真っ赤なバラはススキのように1メートル近くある。
それをそのまま、狭い居室のあちこちに飾ってみた。
真っ赤な花たちの開店エネルギーが充満して、
久々に気分上々の夜になった。
今日の東京の最高気温は21度、最低気温は14度、晴れ時々曇りの予報です。
今日は金曜日、貴女も、貴方も酔ってテキトーになりましょう。


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