3ヶ月ぶりに昼間の外の空気を吸ったら、
何故だかプールの匂いがした。
タクシーに乗り込む前のほんの一瞬の間 。
夏のような日だった。
タクシーはエアコンが効いていたし、
地元のタクシーだったことは幸いだったけれど。
たまに、土地勘のないタクシーに当たることがある。
そんな時は、別のタクシーを呼び直すしかない。
今時、ナビがあるじゃないかと思うかもしれない。
しかし、白い巨塔の大学病院には、何棟もの建物がそびえ立っている。
ナビに、各棟名までは記されていないのだ。
ドラキュラは太陽光には当たることができないから、目的の棟の入り口の前にピタリと車を着けてもらわなければならないのだ。
ドラキュラは、ナビゲイトもできない。
なぜなら、顔を完全遮光の板で覆っているので、視界はゼロ、
どこを走っているかは、わからない。
太陽光は、日焼け止めクリームでプロテクトできるほど柔じゃないのだ。
巷が、真っ暗になるまで、
窓のない病院の片隅に 身を潜めた。
帰りに、タクシー代をケチったのがまずかった。
バスに乗ったら、
停車ボタンがクリスマスのイルミネーションのように点灯した。
左の下、右の下、正面、斜向かい、しかも停車するまで点きっぱなしだ。
クリスマスのイルミネーションは通りすがりにチラっと見るだけだ。
結局また顔を覆って、息苦しく辛かった。
ドラキュラの通院は、地獄の道。
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