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2019年9月14日土曜日
カフェにて
十五夜のカフェは、
先行きの景気を映すように、がらんと静まり返っていた。
24、5歳だろうか、男がテーブルを二つ寄せて占拠していたけれど、それも気にならいぐらい、人がいなかった。
男は、オレンジ色のポロシャツにジャージ、靴は青々としたビニールの四角い穴が幾つも空いたクロッグシューズを履いて、脚を大きく開いていた。
そして眉間にしわを寄せて、手に持った印刷物をずっと睨みつけるように読んでいた。
時々右の足を折って、左の膝にのせたりしていたけれど、印刷物の文字を追い続けていた。
もうじき閉店だと言う時になって、
「あーあ、疲れたぁ〜」と小さくはない男の声が店内に響いた。
カウンターや調理台を気忙しく拭いていたスタッフの耳にもその声は届いていただろう。
疲れた先にあるものが、何か喜びに繋がるような、得るものがあることもある。
けれど男のその声は、疲れた先に、暗雲が晴れないものを感じた。
このところ、私に起こったごたごたが、そうだから知らない他人の声がそんなふうに聞こえたのかもしれない。
今日の東京の最高気温は27度、最低気温は20度、曇り時々晴れの予報です。
今夜の月は、今年一番小さく見える満月だそうです。
今夜も夜空を見上げましょう。
2019年9月13日金曜日
中秋の名月の下で小竹さんと私
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| 置地廣場 |
月明かりの下で、
小竹さんは、値切って買った餃子をあげると私に言った。
私は二度ばかり断ったけれど、今夜の小竹さんは、引かない感じがあって、私はそれを受け取った。
しばらくぶりに出会ったことが、小竹さんには嬉しいと言うふうだったので、私は固く断るのはなんだか悪いような気がしたのだ。
それより前、同じ晩に一度はスーパーマーケットで偶然に小竹さんに出くわしていた。
小竹さんは、月初に故郷に帰ると言っていたので、しばらく東京にはいないのだろうと私は思っていた。
けれど、故郷はたった1泊ですぐに帰ってきたのだと言う。
小竹さんの故郷は北陸だ。
私は小竹さんの本当の名前を今だもって知らない。
故郷がどこかと言うのは、名前や歳や仕事などを尋ねるより、ずっと尋ねやすいものだ。
北陸が故郷だといのは、随分以前、弥生の頃に聞いたと思う。
スーパーマーケットでは、天井のLEDの灯りを避けて、小竹さんの話を聞いた。小竹さんは、小さな声で、姪御さん夫婦と帰郷したこと、甥御さんのことなど少しづつ話した。それは、水道の蛇口を少しだけひねって、糸のように細い水だけれど、絶えることなくつーっと流れ続けるようなものなのだ。
心身ともに弱り気味の私は、それを集中して聞いていることができなかった。そして、今晩は、友人に電話しておしゃべりをしてもらおうと決めていたのだ。
座敷わらしの小竹さんとドラキュラの私の夜に終わりはないけれど、世間の人には夜の途中でお終いがあるのだ。
いや、それだけでもない。先日の小竹さんとの会食の後、私の衰弱は長く尾を引いた。
私は、次のスーパーマーケットへ向かうからと言って、水道の蛇口をきゅっと左に閉めてしまったのだった。
さよならに、私が手をふると小竹さんは、空で、私の手を捕まえてぎゅっと強く握った。
私は、買い物をして、カフェでホットコーヒーを飲んだ後、明くる朝の良人の朝食の支度が負担に感じて、カフェでサンドイッチを買った。
サンドイッチをぶら下げて、お店を出ると小竹さんが通りを歩いていたのだ。
小竹さんは、ずっとスーパーマーケットに居たのだろうか。
私は、小竹さんに握られた手の感触が残っていて、再び小竹さんに出会ったことは、今夜の運命なのだろうと、下を向いて歩く小竹さんに声をかけた。
小竹さんはスーパーマーケットの中華惣菜屋の責任者に餃子の値引きを迫ったと言う。二パック買ったからとそのうちの一つを私にくれると言うのだ。
二人で並んで歩く道すがら、風が涼しくなって良かったと小竹さんは言った。
小竹さんは、暑い暑い8月の夜でも冬支度のように長袖を重ねていた。
今日の東京の最高気温は26度、最低気温は22度、曇り時々晴れの予報です。
綺麗なお月様が見えるでしょうか。
皆様も、夜空を見上げることをお忘れなくどうぞ。
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2019年9月11日水曜日
嵐のあと
含み笑いをしたような月は、濃い黄色をしていた。
台風が去って二晩目だ。
気温は夜9時を過ぎて、28度まで下がっていたけれど湿度が82%もあって酷く湿気ていた。
ヘルパーさんが来る日となると、私はなんとか起きる。
覇気も気力もとうに無くなった日々だけれど、かろうじて羞恥心が残っている。
脱ぎ散らかした服や下着が散乱しているのはどうにかしなければと。灯を付けるに耐えうる顔を作りながらの片付け作業は、挌闘となる。
10分前、5分前、日焼け止めも乾いて、ファンデーションで固めた顔も完成して、不完全ながら遮光の納戸に、荷物を押し込だ。やれやれと同時に、再び気持ちが沈み込んでくる。
それをヘルパーさんが両脇にだらっと降ろされた腕を引っ張るように、私を引き上げてくれるのだ。先週は、猫5匹が疲れたヘルパーさんの帰宅をじっと玄関で待っているお話だった。
私は、座布団を三枚抱えて、今日のお話をこうた。
ヘルパーさんは、その下を掃除機をかけながら、日曜日に思い切って甲府へ行った話をしてくれた。高速道路から、富士山が見えたこと、暑かったけれど、木々の葉を抜ける風が心地良かったこと。
言葉には、写真で伝わらないものがあって、一瞬だけれど私も一緒に出かけたような気持ちにもなれた。
嵐が去ったばかりの夜は、
ぐずぐずとして、9時閉店のスーパーマーケットに滑り込むのがやっとだった。
帰途、あまりの暑さに喉が乾いて、久しぶりにマックでマックフィズ黄桃というのを飲んでみた。
綺麗な黄金色と言うかもしれなけれど、私には黄昏色に映って、
一層物悲しさが押し寄せてきた。
起床してから、飲まず食わずで出ていた私はお腹も空いて、
グランクラブハウスとコーンも注文してしまった。
グルテンフリーの掟破りだった。
けれど実は最近、月曜日だけはパンを食べても良いと言う新たな掟を作って、ずるずると自分を甘やかしながら、掟を守っている体だけを取り繕っている。
マックのグランクラブハウスバーガーは、バンズが普通のと違って美味しいと思う。
中のソースとトマトも美味しい。これは、私がレタスとベーコンを除いてもらうので、こう言う感想になるのかもしれないけれど。
公園脇のフェンス内は今だに立ち入り禁止となっていた。
裂かれた木の枝が、フェンス内にもあるのだ。
ここより優先しなければならない所がいくつもあるのだろう。
さて、マックフィズ黄桃は、ちょっと甘くて、後から苦さがやって来て、まるで人生のような味でした。
一度、お試しあれ!
今日の東京の最高気温は33度、最低気温は25度、曇り時々雨の予報です。
暑さが戻ってこたえますが、お互いなんとか乗り切って参りましょうか。
2019年9月9日月曜日
カフェにて
夜の9時を回って、
私は、外に出る支度をした。
窓を塞いだ部屋に、既に21時間以上こもっていたのだ。
兎にも角にも外を見て、外の空気を吸ってみたい一心だった。
すると、人間に生まれてしまった貝のようである良人が、
その日初めて口を開いた。
「カフェなんかやっているわけないじゃないか。駅ビルだってスーパーだって7時に閉まっているんだぞ。」
親切と言えば親切かもしれないけれど、無口という病気の良人が言葉を発したのは後にも先にもこの日この言葉だけだった。
家の中に居て、私は、会話によって気分転換を図ることは不可能なのだ。
それは、私の抱える難病が誰にも治すことができないのと同じで、無口という病気もまた治らないからだ。
大型台風が近づいていた。
私は、それぞれのカフェの扉に貼り付けられているであろう、臨時休業の張り紙にある文句の違いを調べるリポーターになったつもりで出かけた。
幸い雨は降っていなかったけれど、通りを歩く人は、一人、二人で、街は閑散としていた。
背の高い街路樹の葉を上の方で時折大きく揺らす風はぬるかった。
開いているカフェがあるとすれば、小竹さんがよく利用するカフェであろうと、最初にそのカフェに向かった。遠目に真っ暗なカフェに近づくと、営業時間変更というタイトルの張り紙があった。
ここがやっていないなら、他のカフェがやっているわけはないなと思った。その理由は、小竹さんが利用するこのカフェは、閉店時間の夜11時ギリギリまでオーダーを受け付けて、閉店時間前に客を追い出すことがないからだ。営業熱心とも言えるかもしれないけれど、顧客本位でもあるようだからだ。
次なる張り紙を見るために、私はよく利用するカフェに向かった。今度は、灯があった。けれど、既に清掃中なのかもしれないと近づいてみた。扉には張り紙もなく、いつものようにすーっと自動ドアが開いた。
人の声も聞こえて、店内には、数人の客がいた。
「開いていて良かったわ。」とオーダーの時にスタッフに言うと、男性スタッフは、何をこのババアは言っているんだという風に怪訝な顔をした。
店内に入ると、いつものレギュラーメンバーは誰一人としていなかった。体力温存のために遠征を控えたサッカー選手達のようだ。
スタッフの対応に、余計な事を言わなければ良かったと後悔した。元々無愛想なスタッフだと承知はしていたけれど、カフェが開いていた嬉しさに、つい口をついて言葉が出てしまったのだ。
けれど、冷たいアイスコーヒーを口に含んだ時、もしかしたら、カフェの店内に篭って働くスタッフは、世間のことを知らずに家に篭る私と同様に、
駅ビルもスーパーマーケットも他のチェーン店のカフェも、既にシャッターを下ろしていることを知らないのかもしれないとも思った。
私は、早めにカフェを後にした。
カフェのケーキのショーケースは汗をかいたように、透明な水滴をいくつも付けていた。
帰途の空気は、ぐっと重く熱くなり、
風は、方向を失って強くなっていた。
わずか一時間の娑婆見学となった。
今日の東京の最高気温は36度、最低気温は26度、雨のち晴れの予報です。
午前2時半を過ぎて、風の唸る怖い音が聞こえます。
通勤時間帯の朝は、既に運休を決めている鉄道もあるようで、混雑が予想されますのでくれぐれもお気をつけてどうぞ。
2019年9月8日日曜日
Mr.Dokinのとっておきの一枚
溢れてくる朝日を防ぐために、
排気口に幕を下ろそうとした午前4時、
排気口の連なる細い隙間を縫って、
ミーンミーンと蝉の鳴き声が響いてきた。
まだ生きている蝉がいるんだなと、時が止まっているような気持ちになって、私は一瞬、安堵した。
そんな昨日は暑かった。
夜になって、届いたB級グルメレポートには、鮮やかに赤いザリガニの写真があった。
先日、from Mrs.S子では、リアルなロブスターの姿を見ることができなかったので、器に収まっているザリガニの写真が誠に嬉しかった。
添えられた文章には、印旛沼の食事処からザリガニ入荷のメルマガが届いたとあった。
Dokin氏は成田で単身赴任生活をしている。
暑かったのは成田も同様だったそうで、まさか成田から印旛沼までジョギング?で行っただろうか?
ちなみに成田と印旛沼の距離は、9キロ超だ。
さて、このザリガニだけれど、お味と風味については、どうもだったようだ。
こういう時、お店の人にはどう言っただろうか。
「ビールに合いますね。」、「ビールが旨い。」
「ビールは旨い。」
Dokin氏は、ジョギングの疲労と汗で泣きたい気持ちをぐーっとこらえて、
「いやいや、ビールに合いますね。」と微笑みを浮かべて言ったに違いないと私は想像する。
Dokin氏シリーズ
Mr. Dokinのとっておきの一枚
なまずの蒲焼き
Mr.Dokinのとっておきの一枚
味噌カツ弁当
Mr.Dokinのとっておきの一枚
シウマイ弁当モドキ
ハーレーで下北半島まで行った人もいる
土用の丑の日
2019年9月7日土曜日
2019年9月6日金曜日
京急脱線事故
砂をそうっと押して、
底から少しだけ上がったかと思った昨日、
大事故のニュースが流れて来て、
ずどんと再び沈んでしまった。
横浜市神奈川区の踏切で立往生していた大型トラックと京急の電車が衝突したという。
この電車は、三崎口駅に向かう停車駅の少ない快特電車で、3両が脱線し、復旧は今日の夕方以降になるというのが事故の大きさを物語っている。
このニュースを最初に耳にした時には、トラックは、降りかけた遮断機に無理に進んだということではないらしいことと、運転手さんは亡くなったということだった。
このことが、私の心にずしっと重く、なんとも言葉にならない辛いものが残った。
間も無く、運送会社の関係者が、怪我をした乗客へのお詫び、利用者へのお詫びと、京急へのお詫びを、本当に申し訳なさそうに、憔悴した様子で言葉にした。自らもハンドルを握るドライバーなのではないかと思われる、Tシャツにズボン姿だった。
事故原因の調査はこれからだけれど、
今のところ、狭い道で、大型トラックは左折できずに、
踏切側に右折し立往生となったと目撃者らの証言が報じられている。また、左折の際、運転手が何度も切り返し、後ろを見て欲しいと京急社員にお願いしていた、運転手が自ら車から降りて確認していたなど生々しい証言も報じられている。
心よりご冥福をお祈り致します。
そして、負傷された方々のご回復をお祈り致します。
2019年9月4日水曜日
荒井裕子さん個展のご案内
イタリアの魅力を伝えてくれるイタリアの風景画家荒井裕子さんの個展が今年も9月11日(水曜日)から9月21日(土曜日)まで開催されます。
場所は、銀座伊東屋K.Itoya 地下1階です。
水彩、アクリルガッシュによる作品と、2020年カレンダー、ポストカード等も展示販売されるそうです。
入場は無料です。
開催時刻は月曜日から日曜日までは、午前10時から午後8時まで。祝日は午後7時まで、最終日は午後6時閉場です。
暑さも一段落しているでしょうか。
銀座の中に現れるイタリアの魅力ある街は、日常を忘れさせてくれます。
皆様も是非お訪ねください。
荒井裕子さんのホームページhttp://home.att.ne.jp/gold/hirokoarai/info.htm
2019年9月2日月曜日
9月の憂鬱
じゃらじゃやらといくつもの壺を首からぶら下げて、
日曜の夜、カフェに出て行った。
壺の中には、どろっとした憂鬱が満タン。
窓を塞いだ自宅の部屋の中で、涙ながらに壺に詰め込んだのだ。
夜風は、ほんの少し涼しく感じられた。
でも首からぶら下げた壺の数々が重くて、つい前屈みになってしまうのだった。
がらんとしたカフェでは、いつも勉強している常連が、
突然携帯で仕事の話を始めた。
もう何年も、おそらく4年以上勉強している姿しか見たことがなかった。この人は、私の闘病のように永遠に勉強し続けるのだろうかと思っていた。
そして、勝手に司法試験かしらなどと想像したりしていた。
仕事がらみの勉強かもしれないし、仕事しながら他のチャンスを狙っているのかもしれないな。
夜の外歩きは、いけないものを吸い取って来てしまうようで、
ぶら下げた壺をさらに重くして帰宅した。
今日の東京の最高気温は32度、最低気温は24度、晴れの予報です。
今年も4ヶ月を切ってしまいました。
これまた嫌ですねぇ。
皆様におかれましては、ランチをガツンと食べてハードな月曜日を乗り切ってください。
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