消費増税を目前に我が身の振り方を考える今日この頃だ。
無職無収入のプーターローの私には、一杯400円を超えるコーヒー代は痛手だ。
カフェを移籍するか。
スーパーマーケットで高千穂牧場カフェオレを買って、何処かのの休憩所で飲むことにしようか。
一杯200円のカフェでは来店ごとにポイントがもらえることがわかって、たまに行くそこに行ってみた。
すると、床に黒いつやつやの大きな物が現れたことに気がついた。それは紛れもなくゴキブリだった。
私は、ゴキブリだと呟いて、両足を床から上げた。
右隣で、髪を振り乱して仕事をしていた中年の女性が、
「ゴキブリ?あら、汚い」と小さな声で言葉を発した。
その女性も直ちに両足を床から上げた。
二人のおばさんは並んで、両脚を上げて、それはまるでプールサイドでバタ足の練習をした小学生の時のようだった。
隣の女性が並んで伸ばした脚を見て「私たちったら。」と笑った。
私も笑った。
二人で脚を上げたまま、眼はゴキブリの姿を追って、下を向いて、キョロキョロとしていた。
すると、今度は、銀縁の眼鏡をかけて紺色のスーツを着た左隣の30歳そこそこの感じのビジネスパーソンが「ゴキブリですか?」と尋ねてきた。
私はこくりと頷いた。
3人で、下を向いていて、床を、ゴキブリを見つめ続けた。
ふと顔を上げると長身の男性スタッフが箒とステンレスの水差しを手にして立っていた。
隣の女性もそれに気がついて、「ゴキブリ取ってくれるの?」と静かに尋ねた。
思いがけないお店の対応に隣の女性は少し驚いたようで、私もそれは同様だった。
私は、ゴキブリが彼方に失せることを祈りながら、脚を上げていた。いなくなるまで、脚は上げているしかないと觀念していのだ。
不思議そうに水差しを見つめる隣の女性にお店のスタッフは、
「お湯をかけると大人しくなるんです。」と言った。
私は、突如のゴキブリ退治の事態にあわあわとなって、
身一つで立ち上がって退いた。
するとスタッフが、ヘルプマークのついたバッグや、最近製作した完全遮光布付き団扇などを離れた椅子の上に運んでくれた。
私は、カフェの灯りを気にして、次なるテーブルに移り、
仕事に励む女性と少し離れた席についた。
女性が私を見つめて、「よく見つけましたね。」と言ってくれた。
人に褒められる機会もないプータローの私は、大事な物を発見したような気にもなった。
それにしても3人は、騒ぎ立てたわけでもないのに、よくぞスタッフは気がついて、積極的に処理してくれたものだ。
なあに、一杯400円のカフェだって、大きな銀蝿が飛んで、白いカップの縁に止まってしまったこともあった。
こう言うことは、コーヒーの値段に関わりなく、どのカフェでも起こることなのだ。
さて、10月からどうしよか。
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