お世話になったスタッフにお礼が言いたくて
とんかつ屋さんに行った。
とんかつとともに歩んできた人生は、
とんかつと別れの時を 迎えた。
まさかこんな日が来るなんて。
これからの人生においてとんかつを一枚も食さないということはないだろう。
けれど、毎週とか少なくとも月に一度とかというように頻繁に食すことはなくなるのだ。
どこか別のとんかつ屋さんで、
年に2回か3回食す程度になるだろうか。
まだ実感が湧かない。
食べ納めとなった土用の丑の日の夜は、良人と2人だけなのに、とんかつは3枚テーブルに並んだ。
それはとんかつとの出会いと別れを深く心に刻むかのように、
20日がさぼてんの日で、追加のロース肉一枚が300円になる日だった。
10日、30日も同様だ。
テーブルに並んだ3枚はこの追加ロース一枚と山形豚ロースと健美豚ロースだ。
さながらバスターミナルに並ぶバスのようにテーブルにトンカツが並んだ。
お世話になった女性スタッフに、
お別れに来たことを伝えた。
スタッフの女性は、とても嬉しいと言いつつも、次なる店舗の通勤のことですでに頭がいっぱいのようだった。
通い詰めたとんかつ屋さんだったけれど、
とんかつの写真は意外と少ない。褐色の衣をまとった豚肉は、
これが今日食べたとんかつです、
これは昨日のとんかつですと言ったって、
同じにしか見えない。
だから毎度、撮影してはいなかったのだ。
それに比べるとカツ丼の写真は多い。
閉じた卵の塩梅が結構違うのだ。
とろとろの時もあれば、そこそこ固まっていた時もあった。
カツ丼でもキャベツ食べ放題だったので、
コレステロールを摂ることの罪悪感が半減したものだ。
邪道だと思ってあまり食べなかった巻物は、
食べたら結構美味しかったし、楽しんで食すことができた。
熱いとんかつに、
麦茶も良く合っていた。
長い間、どうもお世話になりました。
しんみりとしていたのは、意外にも若い男性スタッフだった。
大学4年生だという彼は、
来年3月まで、 他の店舗で働くと言っていた。
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