蒲田の西口駅前が綺麗になっていた。
夜とはいえ、空気がねっとりと熱かった。
病人同士のデートは
また近いうちにが、
一年後になる。
七夕の織姫と彦星のようだ。
私は夜しか外出できない。
真っ暗になるのが早い冬場は寒さが厳しくて、病人には堪える。
暖かくなれば日が延びる。
その上、互いの体調があるのだ。
10ヶ月ぶりのデートは、
和蘭豆でまったりする前に、
鰻々亭 でうな重を食べる予定だった。
けれど、鰻は売り切れ御免だった。
昼間に出かけることができたなら、こんな羽目になることもないのに。
Y子さんの代替案はとんかつだった。
大のとんかつ好きだけれど、連日となる私がためらった。
結局、食したのは天丼だ。
吉祥庵というおそば屋で、美味しかった。
卵の天ぷらがぷっくりと載っているのに気がついた時、
心が踊った。
初めての卵の天ぷらは、最後に少量のご飯の上で、
そっと端の方にお箸を入れてみた。
出汁が少ししみたご飯に黄色がとろっと広がって、
一瞬の幸福を味わった。
お吸い物が、乙だった。
天かすがぷかぷかと浮いているものだった。
そして和蘭豆では、
アイスコーヒーとファッションというガナッシュケーキを食べた。
貴婦人のようなフォルムのアイスコーヒーは、
見た目も麗しく、
お味もこの上なく美味しい。
一時、生クリームを断っていたこともあったけれど、
この数年は生クリームをお願いしている。
一気にかき回している人もいるけれど、
私は、静かに自然と降りて来て褐色に溶け込んだところをいただくだけ。
贅沢な味わい方だ。
巷は三連休の真ん中とあってか、
夜10時を過ぎても、来店客が後を絶たなかった。
Y子さんと向かいあって、静かな時を過ごした。
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