夜のカフェで
スーツ姿で向かい合う人々と言えば、
大抵は生命保険か投資の勧誘をする営業マンと
それを聞く仕事帰りの人だ。
二つのテーブルを寄せて、
紺色のスーツ姿で向かい合う四人がいた。
時は、すでに八時半を回っていた。
隣の席に座って、
四人をよく見ると、うち一人は女性だった。
しかも、凄いべっぴんさんだ。
べっぴんと言うには訳がある。
今や、なかなかお目にかかることのなくなった、
清楚な美人だからだ。
青山フラワーマーケット |
白い卵型の顔を
際立たせて、
清潔感を前面に、
長い髪は束ねていた。
切れ長の瞳、
高い鼻、
長い脚をテーブルの下、やや斜めに揃えている。
スーツの襟をよく見ると
「私はいわゆる才媛です。」と言うバッジをつけていた。
女性の隣には、大根おろしとあえるなめこのような男性が座っている。
その二人と向かい会う男性のうちの一人が言った。
「志望動機が弱いな。うちの会社で自分の強みが活かせるとあるけれど、それを具体的に書かなければ。」
エントリーシートの書き方のアドバイスだ。
そう、才媛となめこは就活中なのだ。
志望する会社の大学OB二人と学生二人ということだ。
人間の本能か、
大学の先輩は、
才媛ばかりを見て、
才媛だけにアドバイスを送る。
しかし、自他共に才媛を認める学生も
全国には数千人いるだろう。
先輩は、「家族の一員となる」ような、
一緒に働いてみたいと思わせる学生が欲しいのだと言った。
日本の企業にありがちだ。
先輩は、休暇が年間146日もあるとも言い、
決してブラックではないと言っているふうに聞こえた。
しかし、鞄を持っていない先輩二人は、
話が一通り終わると、会社に戻るように見えた。
置地廣場 |
就活の学生も大変だな。
今日の東京の最高気温は21度、最低気温は15度、曇りの予報です。
だんだんうっとうしい陽気になってまいりましたが、
頑張ってまいりましょう。
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