置地廣場 |
「書いていただいたアンケートは私に返してください。」
「大丈夫ですよ、絶対に見ませんからね。」
絶対に見ると言っているようにしか聞こえない。
今、三つのNPO法人にお世話になって暮らしている。
そのうち一つはもっぱら、移送サービスで、
二つが、お掃除だ。
長くお世話になっていた法人が解散に追い込まれてから、
新しいところにお世話になって1年半を超えたけれど、
これがどうしてなかなかうまくいかないのだ。
今回のアンケート記入の依頼は、その法人だ。
毎回手順を忘れてしまうので、あたふたとして時間が過ぎて行っている。
細部の話などは、当然のようにどれもこれも吹っ飛んでいる。
抱える難病は化学物質過敏症も起こすものだから、
洗剤はワンプッシュでよく洗い流すことをお願いしているのだけれど、
シュッ、シュシュッシュとリズミカルにプッシュし続けて、
私の呼吸困難を招いて「ごめんなさい」が繰り返される。
置いたまま拭くだけをお願いしていた重い荷物の箱を、
ある日、突如持ち上げて、箱が崩れて壊れてしまった。
「置いたままでいいのですよ!」
「そうでしたっけ? 」という具合だ。
ベランダのゼラニウムの花が枯れていたら散らかるので、それを取って欲しいと袋を渡してお願いしたら、
「ゼラニウムを引っこ抜こうとしたけれど、なかなか抜けないのでよく見たら、枯れていなかったので抜くのを止めました。」
枯れた花だけを取ってくれれば良いのだけれど、説明不足なのか。
まあ、ゼラニウムが引っこ抜かれないで良かったと、胸をなで下ろした。
夜、ベランダは真っ暗でよく見えないから、枯れた花を上手くむしり取る事は出来ないのだ。
なぜならベランダに灯がなく、部屋の窓を完全遮光の布で覆っているので、部屋の灯が漏れることもないからだ。長くお世話になっていた法人では、言わずともやってくれていた事だった。
手順などを紙に書いて見た。
すると紙を遠くに持ったり、近づけたりと老眼で見えないようだった。
次に太い大きな文字で書いて見たけれど、いつしか見なくなっている。
どこも人手不足の折、他に人員はなく、
「もう来ません!」ベーなんてされたら、それは困る。
なのでアンケートは出さなかった。
いや、出せなかったのだ。
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