となりの患者は忍耐強くてもの静かな人だった。
私は、別の病室で寝たきりになっていた親分と
夜中にビシバシと激しくメールのやりとりをしていた。
隣から「うー、うー」と呻き声が何度となく上がっていた。
今でも、心から申し訳なかったと思い出す。
翌朝 、真面目な馬場看護師さんが顔色を変えてやって来た。
「あんこさん、となりの瓜さんには心臓ペースメーカーが入っているので、携帯の使用は止めて下さい。」
夜中の辛そうな声は、自分のせいだと思うと知らなかったとは言え申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
瓜さんをはさんでの3人部屋だった。
瓜さんの向こう側の人は、いい感じの人だったけれど、いびきが酷かった。駅伝の時に、上空を低く飛ぶ報道のヘリコプターみたいに、バタバタと大きな音を立てるのだ。鼻にプロペラが付いているのかと言う感じなのだ。
夜中に、しぶしぶ起き上がって病室を出る時、隣を見ると、瓜さんも起きていた。ベッドに座って身体をベッドの柵に委ねて、じっと辛抱しているふうだった。
昼間一言だけ「いい子なんだけどね。いびきがね。」と私に言った瓜さんだった。
私の携帯で胸が痛む時も、じっと我慢していたのだろう。
置地廣場 |
電車内の優先席での使用などが解禁されるとしたら、本当に大丈夫だろうか。
隣のベッドとの距離は、50センチ程度だったけれど、私が携帯を使用していたところから瓜さんまでの距離は1メートル近くはあったと思う。
心臓ペースメーカーを装着している人は、外見ではわからないけれど相当数いるのだ。親分もその時から4年後には心臓ペースメーカーを装着した。
2011年で国内で30万人〜40万人の装着者数となっている。
慎重な対応が必要だと思う。
(登場人物の名前は全て仮名です。)
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