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2019年5月21日火曜日

真夜中のファミレス



 春夏秋冬、
雨降る夜も、晴れたる夜も、強風が吹きすさぶ夜も、
ドラキュラが心地よく腰を下ろすことができる
空間がファミレスだ。
かねてから、その心地よさは、スタッフの接客の良さと、
飽きさせない食事にあるとはわかっていた。


 昨夜、私は、ついに尋ねてみた。
1人、見かけなくなったスタッフがいるのだ。
もう半年以上になる。
今年に入ってから、別のスタッフに一度尋ねたこともあった。
するとその青年は、バイトに就いたばかりで知らないと言う。
昨夜は答えが返ってきた。
「Yさんは、8ヶ月前に辞めた。」と。
私のショックはあまりにも大きくて、1日経った今も喪失感に苛まれている。
辞めたというスタッフのYさんにはかれこれ4年以上お世話になった。
食事をオーダーして、運んでもらうだけとはいっても、
4年もお世話になれば、何とはなしに人となりもわかるものだ。
表裏のない優しい人だった。
ある時、トイレに入るとトイレットペーパーが、一つもなかった。
21時前で、丁度大勢の来店客がひけた後だった。
トイレの入り口付近にいた、Yさんに言うと、急いでトイレットペーパーを出して、トイレにセットしてくれた。
安堵した私は、その時まだYさんが、着替えをしていないことに気が付いた。勤務に入る前だったのだ。
それでもYさんは、嫌な顔もせず、「すみませんでした。」と言ってくれた。
あまりに忙しい時は、厨房スタッフに急かされているのか「タコではありません。手は二本しかありません。」とYさんの優しい声が聞こえてきたこともあった。


 最後にお願いしたのは、昨秋に注文したフレンチトーストだったかもしれない。
売り切れでなかったら、と言ったら、Yさんは厨房に確認に行ってくれた。


そんなYさんと一度だけ、
お会計の時に少し話をしたことがあった。
夜中の営業がなくなったらとても困ると私が言うと、
Yさんも「私も困るのです。」と言ったことを覚えている。
そして、夜中の勤務が生活のサイクルに合っているのだと言うYさんの事情を教えてくれた。
そんなYさんは、マーガレットのような人だった。


立派だなと感心させられるスタッフもいて、
ファミレスは、これからもドラキュラの癒しの空間であってくれるだろうけれど、
それぞれの人に代わりはいないのだ。
当たり前だけれど。
今夜はいるかな、今夜はいるかなと思い続けてきた。
しばらく寂しい思いが続くのだろうな。

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