我が身を鏡に映せば、連獅子の如し。
この半年余、伸びに伸びた髪の毛は、腰に達した。
洗髪すれば、もはや洗面器に髪が収まらず、洗面器から溢れ出た髪は逃れようとする活き鰻の如し。
洗髪には40分もかかる。
水を含んだ髪をタオルで巻けば、その重みで頭がぐらつく。
洗髪後、疲れてしばらく横になる。
そもそも、洗髪にシャワーが使えないから、それだけでも手間がかかるのだ。
浴室の灯を点けられないことは元より、
浴室の給湯器のリモコンに電源を入れることができないのだ。
電源を入れると、ピカーっと小さなLEDが点灯してしまうのだ。
アメリカからLED防止のシートを取り寄せて貼ってみたら、ボタンが押しつぶされてしまった。押しボタンと一体となっているから、完全遮光布にしてもピタリと貼り付けることができないのだ。ボタンを配慮して覆えば、憎たらしいLEDの光は、漏れ出てくる。
日焼け止めを落とした、顔は赤い提灯のように腫れて、ヒリヒリと痛んで眠ることもできなくなる。
仕方なしに、湯船にお湯を張って、給湯器の電源を切って、手桶でお湯を汲みながらの洗髪なのだ。
もう限界はとっくに超えていたけれど、
何しろコロナが怖い。
美容室でのクラスターが報じられたこともあったし。
仕方ない、自分で切るか。
「そうだ、歩けない時は、髪を洗ってくれたよね。」
そう言いながら、牛男を見た。
牛男の顔が一瞬にして曇り、小さな瞳の黒い点がうるうるし始めた。
明らかな拒否反応だ。
牛男は、一生懸命に切った挙句に、「何これ!」とこっぴどく怒られるのが目に見えると思ったのか。
私も、散乱した髪の片付けを思うと、自宅美容室は到底無理だと思った。
さあ、コロナ対策万全な美容室はあるものか、しかも夜やってくれるところでなければならない。
大してコロナ対策もせずに大幅値上げしているところ、
電車に乗らなけらば行けないところは、除外した。
もはや技術は二の次だ。
コロナ禍で未だ商業施設も夜の営業は7時か8時までしかやっていない。夜しか外出できないドラキュラである私に行く所もなければ、会う人もいない。虎刈りだって良い良い。
ただ光を防ぐために、首さえ髪で覆われていればという思いに達していた。とにかく髪を切ってもらって、洗髪をラクにしたい!
スタイリストがマスクを着用し、客もマスク着用OKの夜営業、頭上の灯消灯OKという美容室に予約を入れた。
ところが、最近髪をショートヘアに変えたスーパーマーケットスタッフは、スタイリストも客もフェイスシールド着用の美容室だと言う。
お世話になっているヘルパーさんも「フェイスシールドは当然よ!貴女、コロナになったら一コロじゃないの。」と言う。
美容室に交渉して、ダメだったらクリアファイルでフェイスシールドを作って持って行来なさいとヘルパーさんが助言してくれた。
ところが、美容室にフェイスシールドを用意して欲しいと伝えると、渋られた。
仕方なしに、フェイスシールドを探しに出ると、意外にもスーパーマーケットに数多く並んでいた。
フェイスシールドをぶら下げて、緊張して美容室に入ると、
店長さんが自作のフェイスシールドを一つ用意していた。私が用意したフェイスシールドは助手のスタッフが着用して、私の髪はバサバサと切られて行った。
切り落とされた髪の毛は床が見えなくなるほど厚く辺りに広がった。カツラが二つ作れそうだった。
来週は、パーマに出かける。
これも滞在時間を短くして、感染リスクを低くするためだ。
髪を切った私は有頂天になって、
5ヶ月ぶりにファミレスにも行った。
今日の東京の最高気温は32度、最適気温は21度、曇り時々雨の予報です。
皆様におかれましては、良い週末をお過ごしください。
本日も、ブログにご来訪いただきまして有難うございました。
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