テーブルに額を付けて伏せたかった。
通院の疲れが取れないでいる。
夜になっても当たり前のように降り続く雨の中をマックへ行った。
陽のあたる部屋で、構いもせずにいて花をつけてくれた蘭は、
ことの外可愛くて嬉しいけれど、
陽を完全にシャットアウトした私の居座る部屋に運び入れて、
眺め続けることはできない。
それで、外の空気を吸いに出た。
私の通うマックは従来から土日の夜は営業していないのだ。
今や私の気分転換を引き受けてくれるのはマックしかない。
今夜行かないと、三晩 も行く場がない。
清潔そうに見えるテーブルにも、水玉模様のようにコロナがへばりついているかもしれない。
学生時代のように、伏せて眠りたいけれど、そうはいかなかった。
私は、蓋をつけたままで熱いコーヒーのカップをおいて、
椅子の背に身体を預けて、どこを見るともなく、ぼんやりとしていた。
マスクの下ではポカンと口を開け放っていた。
ぽつんぽつんと点在する孤島のように座る人の間には、さざ波一つ立つこともなく静まり返っていた。
ようやくにしてコーヒーを飲み干して、トイレに行って再び席に戻る途中で、
女二人の大喧嘩を目の当たりにした。
いい歳の女だ。隣り合って座る二人はマスクを付けているけれど、意味をなしていなかった。
「貴女のでたらめな話で、私は貴女をどんどん嫌いになっているわ」
そんな言葉が耳に入ってきた。
私は、頭の中に「出鱈目」と 大きく書いてみた。
漢字だとタラがお魚の鱈なんだよな。
そうやって頭をいっぱいにして、喧嘩の話を耳に入れないようにして帰ってきた。
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