ドラキュラのモーニングは夜の8時だ。
6時近くまで眠ってしまったものだから、
胃袋がまだ動き出さないでいた。
けれど、食べることを決めていた。
何故なら、今日は夜が明けてからお腹が空いてしまい、
食べるものもないので、ただただ空腹を満たすためだけに虎屋の小さな羊羹を食べたのだった。
そんなふうに虎屋の羊羹を食べるのは甚だ不本意なのだ。
夏が来たら、
ヴィシソワーズだ。
久しぶりにスープストックで、ヴィシソワーズとライムとパクチーを除いてもらったトムヤムクンを飲んだ。
冷たいヴィシソワーズはじゃがいもの甘みが口に広がって、喉越しよろしくの期待どおりの美味しさだった。
トムヤムクンにはヤングコーンがゴロゴロと入って、辛味でゴマのご飯が進んだ。
ランチに買ったシウマイ弁当をぶら下げて、スーパーマーケットを歩いていると小竹さんに出会った。
小竹さんは、私に迫るように言った。
居酒屋でご飯を食べるのは、いつ何時にするのだと。
先週、私はカフェで、帰郷した後には、一緒に居酒屋で食事をしようと言ったことを思い出した。
スーパーを出て、小竹さんの行きつけのカフェで、その話を詰めた。
そして明晩、9時に居酒屋の前で小竹さんと待ち合わせることとなった。
私は、相変わらず、小竹さんの本当の名前も知らない。
約束はしたけれど、互いの電話番号もわからない。
帰途、道を塞いで自転車に乗った男子高校生5人が、
ボールをパス回ししていた。
「道を塞いでそう言うことをするのは止めてください!」
突然、小さな小竹さんが、体を震わして言った。
私は、一瞬、私達に明日は来るだろうかと思った。
「すみません」誰かが言って、私は胸を撫で下ろした。
とりあえず明晩のモーニングは小竹さんと食することになる。
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