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2018年4月18日水曜日

カフェにて



 男と女の間の席が空いていた。
私は、男のサイドから入って席に着こうと思った。
身体を横に向けて座っている女サイドはスペースが狭いと感じたのだ。
細身のスーツ姿の男はフレンチトーストを食べていた。
私がテーブルとテーブルの間に入った瞬間に、男は、ナイフとフォークを置いて、ビジネスバッグを自らの身に寄せた。
もともとビジネスバッグは、男の脇に置かれていて全く邪魔にはならなかったのだけれど。
私が、「すみません」と言うと、男は静かに頭を下げた。
こう言うシチュエーションで頭を下げる男性は滅多にいない。
どしっと座った私は、隣の男をまじまじと見てしまった。
男は、ナイフで小さくカットしたフレンチトーストを静かに、
口に運ぶ。
控えめに開けた口に小さなそれを置いていく感じでフレンチトーストを食べ進めて行く。
ナイフはゆっくりと静かに引く。
私は、美味しそうなフレンチトーストよりも、しとやかな男に目がいった。


 コーヒーを注文するために席を離れ、戻った時に、私は再び男を正面から見ることができた。
長身であろう男は、イケメンとは言わないけれど、色白で整った顔立ちだった。
背筋はピンと伸びて、紺色のスーツがパリッと見えた。


 私は、コーヒーを口に含んで、今度は右を向いた。
20代半ばの女は、ピンクのパンプスを脱いで、大きな足を膝にのせて、パンプスを頭まで掲げてパンプスの中を 覗き込んでいるところだった。
大きな足は、足の指だけがカバーされる靴下がサックのように被さって、足の半分は素足だった。
女は、パンプスを床に置いて、膝の上の足のタコをいじったり、またパンプスを持ち上げてパンプスをいじったりを繰り返す。
デニムのパンツにパーカーを羽織った女の背中はパーカーが持ち上がって時々背中の下の方が見えた。
女の草鞋のように大きな足はインパクトがあって、目が奪われるけれど、コーヒーをまずいものにした。
私は、女の髪を止めた輝く星屑の並ぶ髪飾りを 見るように努めた。
左の男は、フレンチトーストを 静かに食べ終えて、読書の時間となった。
カフェには色々な人がいる。


今日の東京の最高気温は16度、最低気温は12度、雨のち曇りの予報です。
今日は肌寒く感じるでしょうかね。
お仕事帰りには、熱いコーヒーをどうぞ。




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