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2019年11月27日水曜日

無口という病気22

置地廣場

 良人(りょうじん)は無口という病気です。
わざわざ病気と言うのは、普通にしゃべる人には理解し難いほどに喋らないと言うことなのです。
先週の土曜日の宴のお別れに、改札口で大きく手を振る私に、
手を振って返す2人は「今度は牛男さんも一緒にね!」と言ってくれた。
それが仮に社交辞令でなく本心から誘ってくれたとしても、
全くもってして不可能な話なのだ。
太陽が沈んだきり、再び昇ってこないのと同じぐらいあり得ないこと。


具体的なお話をいくつかまた挙げよう。
クロネコヤマトのお兄さんが、ピンポンと押してドアを開けると、牛男は柱の影に隠れてしまう。
はるばる北海道から来てくれた友人が、自宅に立ち寄ってくれたときは、ドアを閉めたきりついに牛男は寝室から出てこなかった。
「ちょっと、牛男さん、挨拶してちょうだいよ」とドアを叩いても、返事もない。
ドアを開けようとすると、ドアの向こうに大きな身体を押し当てているのかドアを押してもドアはピタリと動かなかった。
結婚後間もなく、私の職場の後輩男子がお祝いに来てくれた時には、牛男はベランダに出てしまった。
その時私はまだ健康で、後輩は昼間に訪ねて来たのだった。


外食時には、牛男自らの食べたいものは、メニューを指さし、小声で私に伝え、私が飲食店のスタッフにそれを伝えるのだ。
お寿司屋さんでも、小さな声で私に、「赤身、青柳、イカ、タコ」と言う。それを私が大将に大きな声で
「赤身!、青柳!、イカ、!タコ」と言うのだ。
ある時、ぶらりと私1人でお寿司屋さんに入って、大将と板さんとで世間話をしているうちに、
板さんが「ところで旦那さんは、どうして俺らに直接注文しないのよ。 」と言った。大将も「そうだよ、そうだよ!」と。
私が、牛男についてかくかくしかじかで、「口数よりおならの数の方が多いのよ。 」と言った。
板さんは、ぽかんと口を開けて
「へぇ〜」と言った、えーがかなり長かった。


 そんな良人は金曜日に鯛焼きを買ってくることが多い。
私はグルテンフリーをしているので、「買ってこなくていいよ。」と言う。
それでも買ってくるのは、良人がそこの鯛焼きが好きなんだなと思う。推測だ。


今日の東京の最高気温は11度、最低気温は8度、曇り時々雨の予報です。
私は夜の徘徊に手袋をはめました。
冷え込む日々となりましたので、皆様風邪など召されませんように。

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