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2016年8月25日木曜日

断捨離に活路



丈の高い夏草が、
大波のように風にうねる中、
埋もれるように青い四角いテント。
多摩川河川敷のホームレスの住処を何度見ただろう。
健康だった時の通勤電車の窓から。
「NO」と言ったら、明日はわが身と、 
吊革を掴む手に力が入った。
ある時、とうにエアコンが切れた暑い夏の夜のオフィスで、
隣のデスクの元上司が言った。
「あんこさん、私は、多摩川河川敷の青いテントを見る度びに、明日はわが身と思うんだよ。」と。
「ええっ。私もですよ!」と言ったことを今でも思い出す。
先週末の晩、いつもの介護事業者にお世話になって、
遠くに、大荷物を引き取りに行った。
荷物は、畳一畳分近くある段ボール一箱と合宿用バッグ一つ。
荷物の大きさは、悩みの大きさと等しく、
心にずしっと重いものが生まれた。
衣類だけれど、大半は新品の袖を通していないものだ。
ドラキュラは、それらを夜買い歩き、
荷造りするのに2日がかりだった。
年の始めのこと。
甲斐もなく引き取る次第となったのだ。
一枚一枚、広げて、
ドラキュラが着れるかしらとか、
窓ふきにとっておこうかしらとか、
考えながら断捨離しても一向に減らない荷物だ。
トイレ前の廊下にそれらが置いてあるので、
おデブな良人がトイレに入る度、退けるのが面倒になったのか、
ついに無口な口が開いた。
「ホームレスの支援団体に送ったら。」
珍しく断捨離に活路が見出せた。
就眠前の朝、連絡をすると、引き取るとのことだった。
つい最近も多摩川の河川敷で夏草の中、
蚊に悩まされているホームレスの様子が放映されていた。
足しになればいいな。
決着して、やれやれのヴィシソワーズ。

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