まとわりつくように生きていた
私を捨てて、
日本を捨てて、
男と渡米してしまった友と
再会した。
随分と長い時が流れた。
どうにもならなかった。
高校の同期生達の押しがあって果たされたのだ。
集った14名。
13名で、彼女の記憶を呼び戻す作業だった。
記憶喪失のような友。
既に米国での暮らしの方が長くなっている。
今では夢も英語で見るそうだ。
思えば、
あの日、
彼女に言えば良かった。
「IQ150の男に騙されているのよ!」
彼女の家の2階、
彼女の部屋の、
彼女の机の上で、
ラーメンが嫌いな彼女と
天ぷらうどんをすすった。
大学4年生の時だった。
彼女はほんの少し、その男と共に生きていくことに迷いがあった。
でもほんの少しだった。
彼女が、ほぼ決心していることは、わかった。
それで、私は何も言わなかった。
和柚庵 |
スーパーでアロエの入ったヨーグルト を見る時、
私はいつも彼女を思い出している。
彼女は、庭にある長ネギを取ってくるように母親に言われた夜、
誤って水仙をとってきて、食べてしまって腹痛を起こしたと言っていたから。
椅子の上に載っていた熱いオーブンの網の上に座って火傷をした時に、アロエを貼り付けたら、跡にならなかったと言っていたから。
Don don din don shubi da don Ah deh din don shubi da don
(小林亜星 夜がくる から引用)
よろこびがあるかなしみがある
明日がある
サントリーをみんな飲んでいた。
虫の生まれ変わりだとも言った。
人に踏まれた記憶があると。
私の前世は、
やはりドラキュラだったのだろうか。
予定通りテーブルの上の電球を消してもらった。
すると、枝豆もお造りもまるで見えなくなった。
幹事様が身につけていたエプロンを外して、電気の傘に巻きつけて光をやわらげてくれた。
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