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2021年11月19日金曜日

ほとんど皆既月食

18時55分


 親友の「明日の月の写真はブログに載せてね!」というメールに、必死になって撮ったのは星屑だった。

言われてみれば、都会としては空が広いその場所に居たのは私だけだった。私の勢いに釣られて、通りかかった一人のビジネスパーソンもそれを寸前で消える月と思ったに違いなく撮影していた。

木星

丁度消えるという18時2分には、和紙に薄墨が広がったように薄雲が覆ったものだから大層悔やまれた。

間違いだと気がついたのは、撮影後に急足でクリーニング屋さんへ行って、戻って、再び彼の地に着いた時だった。
クリーニング屋さんでは、かれこれ社会人に成り立ての頃からお世話になっていて高齢となった店主が、昨夜は体調が良かったのか、私に「お元気そうね。」などと話しかけてきて、月が気になる私は、話をはしょって「夏は死んでいたんです。」とお伝えして、慌ただしくお店を出たのだった。

彼の地に一人の女性がスマホであっちの方を撮影している。そちらに目をやるとひっくり返ったような月があった。
先ほどの撮影が18時丁度それから55分後に、月がてくてく夜空を戻り歩くはずはない。
諦めがついたのは、18時2分の食の最大の時には、それを見ることができる場所が近隣にはなかったということだ。
19時03分

膨らみ行く月は、仕事帰りや仕事終わりの人々がスマホをかざしている中に混じって撮りました。
でも何故だか、細くなって行く月を撮りたかったな。

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