私の夜空では、天体ショーは開かれなかった。
視界不良、我が人生の如し。
いつかのように赤胴色の月を捕まえるつもりは、はなからなくて(Blood Moon)、皆既が終わって少しずつ膨らんで行く月を収めるつもりだった。
既に皆既であったからか、雲がしゃしゃり出ているせいかいつかの交差点に人影はなかった。
ところが、20時28分を回ると一人二人と人が湧いて来た。
一人一人の見る方向は微妙に違っていた。
私は、3月には全く動かせなかった首が、ぐるぐる回るようになったこともあって、信じる方向を見失って気がつくと空の穴を探していた。
諦めが早いのか、忙しいのか、人はどんどんと去って行った。
中には、真北を指して「あっちが南だ!」と言い放って消えた三人組もいた。
その言葉に吊られたわけではないけれど、ビルの陰のもう少し東がその方向かと思って私も歩き始めてしまった。
やがて雲には隙間が一つもなくなって、私は犬のように下を向いて、黒い夜に冴えるどくだみの白い花などを撮っていた。
はっと我に返って、クチナシの季節だと思い出して、街路の植え込みを覗きに歩くと、花を待たなかったのか、綺麗に刈られたクチナシの低木からは新芽が一斉に吹き出して、街灯の光に葉だけが艶々と光っていた。
これまた無念。
飛んで来た被子が根付いたのか、アカシアの葉がツツジ植え込みの間からにょきっと伸びていた。面白いように、葉を合わせている。これは夜になると葉を閉じるネムノキと同じだ。
諦めの悪い私は、再び交差点へと戻った。
21:18撮影 |
すると、月のかけらを見つけた。
細い月は、撮影すると土の中から出て来た古代の勾玉のように膨らんでしまうのが残念だ。
今日の東京の最高気温は20度、最低気温は15度、雨時々曇りの予報です。
本日も当ブログにご来訪いただきまして有難うございました。
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