９月の憂鬱

置地廣場

夜空一面を覆い尽くす重い雲から滲み出てきた小雨が、
アスファルトを黒くしていた丑三つ時。
オフィスビルの前に出前の自転車があった。
まさかと目を凝らして見たけれど、自転車の荷台の白いボックスには安全運転のシールが貼ってあって、やはり出前だ。

ビルの先が低い雲に埋まったようなビルをもう一度
見上げて見た。
すると確かに２箇所で灯りが点いていた。

月初の丑三つ時に
ドラキュラの孤独が失せたほんの一瞬だった。

今月は、憂鬱の数をひ、ふ、み、よ、いつ、と数えてみるかな。

皆様におかれましては、お仕事帰りなどに銀座で開催されている荒井裕子さんの個展で、どうぞ心を癒してください。