上野の杜 |
会席弁当 |
夜になって、靴を買いに蒲田へ行った。
靴は買えずにお弁当を買って帰った。
昼間は、代わりに良人に病院へ行ってもらった。
しかし大学病院は休診日だったそうだ。
良人は、診断書を受け取れずに商店街で和菓子とパンを買って帰ってきた。
治らないから難治病と言うのに、毎年更新審査がある。その都度、医師にいわば診断書を書いてもらわなければならないのだ。
抱える難病には様々な症状があるけれどそのうちの一つ光線過敏の症状が重く夏場の通院は止めるように医師から言われている。
よりによってこの季節が難病認定の更新となっている。おまけに今年は喘息認定の更新の年でもある。先月末の土曜日に良人に大学病院に行って、舌をかみそうなカタカナ名の難病と喘息の所定の用紙を提出してもらい、それぞれ作成済みを電話で確認して、今日取りに行ってもらったのだ。
しかし、休診日だったとは。
くそ熱い正午に大学病院に到着した良人は、怒り、携帯は鳴らしてくるわ、固定電話は鳴らしてくるわ。
ドラキュラの就眠時間は引き裂かれて、ひたすら謝った。
蒲田なら、靴もそう高くはないだろうと向かったかれど、おばあさん用か、ピンヒールという両極端で自称28歳独身OLに似つかわしいものはなかった。また蒲田なんて言ってみても、実は3ヶ月ぶりだ。
駅ビルグランデュオ地下で買ったのは、ゆしま扇のお弁当。
ゆしま扇のお弁当もまた美味しいのだ。靴は買えなかったけれど、予定どおりに〆は和蘭豆(らんず)だ。
髪の毛をレインボーに染めた直木賞作家志茂田景樹さんに似た男性が連れ立って先に入って行った。
今夜はシンプルにアイスコーヒーにしてみた。
初めてだったけれど、苦いだけのアイスコーヒーが多い中で、コーヒーに甘みもある深い味わいに大満足だった。甘くない生クリームも邪魔ではなく、良かった。
周りを気にしてみると、だいたい常連なんだな。親しくウエイトレスとしゃべったり、私に尋ねたように「生クリームと砂糖はどうしますか?」なんて聞かれていない。
伝票の裏に目をやると、無断転載禁止の散文が記されていた。
世間は、お笑い芸人の又吉さんが芥川賞を受賞したことで騒がしくなっている。低迷し続けている出版業界に活気をもたらしてくれたと、多くのコメンテーターは言う。内容については、あまり触れられることはなく、「あっという間に読めた」という感想が多いようだ。
太宰や芥川のものを空で言える人は10万といるだろう。
そして、星の数ほどいる物書きを目指す人々は苦々しく思っているだろうな。
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