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2013年12月6日金曜日

ドラキュラ的生活8

ドラキュラは、忘年会にお呼ばれすることもない。
ドラキュラは、どこの組織にも所属していないものだから。
昨晩、健康な友人にメールをしたら、「もう寝るよ、連日忘年会でヨレヨレ、明日も明後日も忘年会です。」とお返事がきた。明日も明後日もメールはご免という事だ。忘年会の最中には、早く帰って寝たいなという人も多いだろう。
しかし、 忘年会に無縁となって10年も経つと、忘年会もまた羨ましい。
暮れるのが1年中で最も早い季節になり、踊る様に外に飛び出して、食事処を訪ねても、本日宴会でいっぱいでと、控え室のようなところに押しやられてしまう。夜でも、この季節はドラキュラの居場所は限られてしまうのだ。












かと言ってドラキュラ達を募って、ドラキュラの会を結成する意欲などはない。黒いマントを羽織り、黒い革のハットを被った大勢のドラキュラ達の真ん中で、ワイングラスに注がれた真っ赤なトマトジュースで乾杯の音頭をとるようなお調子も沸いてこないし。
「カチン、カチン」と、グラスを重ねた音なのか、八重歯がグラスにぶつかった音なのかわからないぐらいうるさい宴になるのだろうな。
ようやく黄金色に染まった銀杏の樹。
師走にしては、あたたかな夜の空気を吸って、はいて、ぬるいたい焼きをかじりながら、今夜もドラキュラは夜の街を走ることなく、とぼとぼ散歩する。やがて短くなっていく夜を惜しむように。

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