長く続く暑さにぐったりとしている。
窓を塞いでいるので外の様子は全くわからない。 蝉の声が、明るくなり始めた合図だ。 蝉の合唱になる前に、扉の隙間から漏れる光を防ぐために扉に垂らしている完全遮光の布を、重しや、つい立てで、ピント張る。完全遮光の布のひずみから光が漏れてくるのを防ぐためだ。
そして、棺の底にぎっしりと氷を敷き詰めて、眠りにつくのだ。
暮れて、きしむ棺の蓋を開け、手探りで灯りのリモコンを探し、一番小さな玉をつける。棺からしぶしぶ出て、最初の仕事は、丹念に日焼け止めクリームを塗る事だ。
日焼け止めクリームを塗らなければ、何も始まらない。部屋の灯りもまともにつけれないのだ。
アスファルトの照り返しが少し収まった頃、よたよたとステッキ片手に街を徘徊する。
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