百聞は一見にしかず
昔の級友に通院時の私の格好を画像で送ったら、
驚いた、まさかここまでとはと返信が来た。
いくら文字で綴っても、どんなものかピンとこないのだろう。
虚無僧が被る笠のような大きな完全遮光の帽子、顔は手作りお面で覆い、完全遮光の上着を着てタクシーに乗り込む。
太陽の光は、室内の照明の比ではないのだから。
私の通院時の格好は、まさに今、新型コロナウイルスで、クルーズ船に乗り込む検疫官が、大きな完全遮光の帽子を被った姿に酷似しているのだ。
通気性が全くないので、タクシーの中では大汗で体重が1キロは減る。
このウイルスの広がりが心配される中、大学病院への通院はためらった。咳や発熱で心配になった人々が結構いるのではないかと。
けれど、この冬一番の冷え込みだというので、タクシーの移動のもラクに違いないと出陣した。
ところが、太陽光が透過してくるタクシー内では、やはり完全遮光の上着の下は蒸れて猛烈に熱くなってきた。
おまけに、連日訪日客を幾人も乗せているという運転手さんは、マスクをかけていなかった。
明け方からホテルに呼ばれて、羽田まで、羽田からまた訪日客を乗せる。どうもその繰り返しらしい。
訪日客降車の後は、アルコールはかけるとは言うけれど。
途中でエアコンで冷やしてもらった車内のどこを掴んで良いのやら、病院に到着した時には、私は転がるようにして降りた。
もしかすると大学病院の入り口には消毒のアルコールがあったのかもしれないけれど、差し込める光から逃れるのに真っしぐらに院内に入った私は、エレベーターのボタンを押すのを躊躇した。
そこには消毒のアルコールがなかったのだ。
そして、トイレでまず手を洗っての診察待ちとなった。トイレにも消毒用のアルコールはなかったので、病院も不足しているのかもしれない。患者の数はいつもと変わらなかった。
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蘭免ん |
真っ暗になるまで、窓のない待合で過ごした私は、節約のためバスに乗ることにした。来る時のタクシー代が過去最高額になったのだ。
けれど、コートを羽織ってはいない身には、バス停までの夜道とバス待ちの間、寒風が酷く堪えた。
完全遮光の上着は、通気性はないけれどペラペラのポリエステルなのだ。
たった一人で待つバスに、乗客ここにありと大きく手を振って乗り込んで、
空いていた優先席に腰をおろして、虚無僧の笠のような帽子を顔まで引っ張りおろして、バス車内のブザーのランプの光を遮断する。手元付近のブザーランプは革の手袋で覆った。
通院日は再起不能、昨夜、スタミナをつけるべくカツ丼を食べた。
死にたいとメールをしてくる良人は、闘病に寄り添って15年
の生活に疲れ果て、またうつ病が再発したかと案じたけれど、ようやく出社して、釜揚げ稲庭うどんと小天丼というのを食べた。
良人と別れて、やれやれとマックでコーヒーを飲んでいたら、
店内に消毒アルコールを見つけた。偉いぞマック!
今日の東京の最高気温は13度、最低気温は0度、晴れ時々雪か雨の予報です。
マスク不足が早く解消されますように。
皆様におかれましては、良い週末をお過ごしください。